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売れない作家の日本定点観測

日本から横車

2020-09-23 18:30:29 | 日記
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-09-22/QH1IECT1UM1801

https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1600800514/-100

「余は模糊たる功名の念と検束に慣れたる勉強力とを持ちて忽然、この欧州新大都の中央に立てり。何等の光彩ぞ、我眼を射んとするは、何等の色沢ぞ、我心を迷はさんとするは、菩提樹下と訳せば幽静の境かと思わんなれど、この大道髪の如きウンテル、デン、リンデンに来て両辺の石を舗ける人道を行く隊々の士女を見よ。胸張り肩聳えたる士官の―――まだ維廉1世の街に臨める窓に倚る頃なれば―――様々の色にて飾りたる礼装を着けたる妍よき女の巴里まねびの粧したる、彼も此も目を驚かさぬはなきに、車道の土瀝青の上を音もせで走る色々の馬車、雲に聳ゆる楼閣の少しとぎれたる処には晴れたる空に夕立の音を聞かせて漲り落ちる噴水の水、遠く望めばブランデンブルゲル門を隔てゝ緑樹、枝をさし交わしたる中より半天に浮かびたる戦勝塔の神女の像―――この許多の景物が目睫の間に聚まりたれば始めてこゝに来しものゝ応接に遑なきも宣なり。されど余が胸中には従令ひいからる境に遊びてもあだなる美観に心をば動さじとの念ありて、恒にわれを襲ひ来る外物を遮り留めんとしたり。」(以上引用終わり)森鴎外「舞姫」におけるベルリンの描写であります。鴎外は23歳の時、1884年にドイツへ軍医として渡独しました。フォルクスワーゲンの前身は第2次大戦の最中に生み出されましたので、鴎外はモータリゼーションの塵埃を呼吸していないのです。一般に鴎外は、近代化の反動でロマンチズムを内面化していたとされますが、世間を賑やかし、いまでも肯定と否定との間を揺れる一文に接し、様々な印象を抱きます。鴎外は毅然と、そして時に不安に駆られながらアスファルトや石畳の道を行きます。毅然とする姿勢は国民国家から生まれ、不安は都市生活が過去の習慣から切り離されてしまったところにあるのではないか、と推測いたします。都市としてのベルリンがどのような帰趨で存在するのか皆目見当もつきません。当事はフランス革命が起こり、ナポレオン戦争が起こり、強烈な余波を受けてドイツも統一を促され、ベルリンも全てモノは有り余るが、なにかが足りないと悩む怯懦な心に渡航者の鴎外も悩んでいたのではないか、と連想いたします。推測に推測を重ねる悪文が続きますが、ロマンチズムにはまると言うことは過去の出来事に思いをはせるという意味合いに重なります。<<雲に聳ゆる楼閣の少しとぎれたる処には晴れたる空に夕立の音を聞かせて漲り落ちる噴水の水・・・>>その向こうというのは実は湖のほとりの村々であり、週末は教会へ集まる生活であり、鍛冶工が鋤や鍬を作り出し、季節の移ろいとともに循環する人生を受け入れる懐かしい精神だったのではないか、と思われます。池田香代子訳グリム兄弟「完訳グリム童話集1」のなかの「白雪姫」に、あまりにも有名な描写があります。「(お后の死後)一年たって、王さまは新しいお后を迎えた。新しいお后は、とてもきれいな人だった。けれど高慢ちきで思いあがりがはなはだしくて、ほかのだれかが自分よりもきれいだったりしたら、がまんのならないたちだった。お后は、ふしぎな鏡を持っていた。お后は、鏡のまえに立って、じいっとのぞきこみながら、となえごとをする。「鏡よ 壁の姿見よ くにじゅうで だれがいちばん美しい?」」(以上引用終わり)今回、中国共産党の習近平委員長が、「鏡よ 壁の姿見よ 世界中で だれがいちばんおろかしい?」ととなえ、部屋の影で戦狼報道官である趙立堅氏が「それはアメリカのトランプ大統領です」と答えている場面です。トランプ大統領はより長い目で見ればアメリカ経済中興の祖という存在だと思われます。中国経済を国際政治の中でおかしくしたのは誰? と中国の民衆は思っていることでありましょう。