熱帯の太陽が照りつけ、密林の木々の葉の濃い緑が強く日の光を反射していた。 日なたでは肌がじりじり焼けるような感じだが、意外と湿気は少なく、日陰に入ると、ひんやりとして気持ちよかった。
艇隊の指揮所、倉庫、兵舎は完成していたが、艇を入れるドックを作り、魚雷や燃料、備品、食料品を搬入、整理する作業があった。 また、艇や魚雷の整備も急がれた。
「この海岸の崖の裾を掘り込んで、簡易ドックを作ろう。」
「曹長、マングローブの中に隠した方がいいんじゃないですかね。」
「空襲が頻繁にあるらしい。マングローブ林じゃあ、絨毯爆撃で吹き飛ばされてしまう。」
「海軍にはいったら、土掘りはやらなくてすむと思ったのに、やれやれだ。」
汗みどろになりながら、工兵隊と協力してダイナマイトとつるはしで簡易ドックを作り、艇を隠し、偽装網をかぶせた。 魚雷艇はT14型、15トンで920馬力の航空用ガソリンエンジンを搭載し、最高速力33ノットをだす。 強力な45cm魚雷を2本搭載し、13mm機関砲1門を備えている。
〔参考文献:今村好信著「日本魚雷艇物語」、光人社〕
〔参考図:ブライアン・クーパー著「高速魚雷艇」、サンケイ出版社出版局〕
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/33/b89b2440f70ad2fc2aa966c317a3dd83.jpg)