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第5話(2)

 暴虐への抵抗(2)

 ここはワルシャワ東南50キロにあるカルボリン郊外の、とある小村だ。
収穫を終えた麦畑が広がっている。

 ソフィアは乳牛を追いながら、あぜ道を歩いていた。
街道を、今まで聞いたことのないような爆音を立て、土煙を上げながら走るオートバイが見えた。

 そのオートバイが村に入っていく。

ドイツと戦争になったぞ!ヒトラーが攻めてくる。」
そう怒鳴ると、警官はすぐ次の村へ走り去っていった。

 村中は大騒ぎになった。
「食糧を蓄えないといかん。」

 「男はすぐに招集されるぞ。」
「なーに、イギリスとフランスが西からドイツを攻撃すれば、すぐ片がつくさ。」


 2週間もすると“ポーランド軍敗走中”のニュースが入ってきた。
そのうちワルシャワ方面から、ズンズンという不気味な音が聞こえてきた。

 しばらくすると、ひどい状態のワルシャワからの避難民が村に現れた。
「ポーランドは降伏したよ。また、ドイツとソ連に占領されてしまった。」

 ソフィアの家族は、穀物やチーズ、瓶詰めなどを、森の中の地中に隠した。

 父が言う。
「ソフィア、お前はボロを着て、顔に煤を塗って目立たないようにしなさい。」
「ドイツ人はポーランド人を目の敵にしている。ひどいことになるぞ。」

 威勢の良い兄は、
「そうなったら、銃を取って戦うさ。俺たちにはコシチューシコの血が流れているんだ。」


 参考図:「ワルシャワの反乱」、サンケイ出版、1973
     
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