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第5話(3)

 暴虐への抵抗(3)

 村にドイツ保安隊の将校が通訳を連れ、乗り込んできた。
全村民が兵士により、広場に集められる。

 将校は尊大な態度で、皆を睨む。
「今から名を呼ばれたものは、即刻、手荷物をまとめ、ここに戻ってこい!」

 将校はメモを読み上げ始めた。

 名前を挙げられたものは、村長、司祭、村の有力者、教師、元軍人、学生、ユダヤ人達だった。
ソフィアの父の名も入っていた。
父は、20年前のソ連との戦争で勲章をもらっていた。

 「さっさとトラックに乗るんだ!」
兵士にせき立てられ、名を呼ばれた男女がトラックの荷台に押し込まれる。

 「お父さん!」
父はちらっと娘を見てほほえんだが、たちまち大勢の人に押され、トラックの中に消えた。

 トラックは走り去り、連れ去られた人達が、再び村に戻ることはなかった。


 ヒトラーがポーランド国家だけではなく、ポーランド人を徐々に消し去ろうとしていることが、明らかになる。

 冷たい風が吹き始めた頃、教会の壁に通達が張り出された。

 “本村から10月末日までに、小麦10トン、ジャガイモ1トンを総督府管理事務所に供出すること。義務を果たさない場合は、サボタージュとみなす。”

 供出の代価として送られてきたのは、アルコール度の極めて高い安酒だった。


 自然発生的にサボタージュ、破壊活動、テロが起こった。
ソフィアの村の近くの街道で、ドイツ軍のトラックが落とし穴にはまり、横転した。
ドイツ軍の小隊がやってきて、村民を広場にかり集める。

 「この破壊工作を行った者を報告せよ。報告がない場合は人質を処刑する。」
無差別に3人の村民が捕まえられる。

 夕方、村の広場にある立木に、人質3人の身体がぶら下がっていた。

 参考図:「ワルシャワの反乱」、サンケイ出版、1973
     
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