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第3話(2)

 ミサイル、撃て!(2)

 暗闇の中、ラタキアに向け、艇隊は進む。

 前方25キロに、捜索用レーダーが移動体を探知した。

 目標はミサイル艇より大きく、速力も十数ノットだ。
この海域で商船の航行は禁止されている。
シリアの監視船と思われる。

 「よし、攻撃して、シリアのミサイル艇を引っ張り出そう。」
相手も気づいたと見え、港に向かって走り出した。
シリアの海岸砲の射程内に逃げ込むつもりだ。

 相手との距離は18キロに狭まった。

 「ミサイル発射用意!」
「ミサイル発射用意よし!」

 射撃指揮レーダーが目標を“ロック・オン”した。
「発射システム目標捕捉!」

 発射許可の警報器が鳴り響く。

 アミルは発射ペダルを踏み下ろす。
ミサイル容器から白煙を上げ、ミサイルが飛び出した。
艇が、その反動で身震いする。

 ミサイルは300メートル程上空に上がった後、降下し、海面上20メートルを疾走する。

 アミルは深呼吸をして操縦桿を握り、ミサイルを射撃指揮レーダー・ビームの中に誘導する。
アドレナリンが一気に吹き出る。

 “うまくいった!”
「ビームに乗せ!」

 2分弱後、目標に近づくと、ミサイル自身のレーダーが“オン”され、目標の追跡を始める。
「ミサイル・ホーミングに切り替え!」

 ミサイルは高度を20メートルから2メートルに落とし、目標に突入する。

 ブリッジ下にある作戦室、その室内にあるレーダー画面を艇長が凝視している。

 画面上のミサイル映像が、目標に溶け込んだ。
目標が停止する。

 ブリッジから、水平線上に橙色の明かりが発生した、との報告が入る。
「命中!」
艇内のそこかしこで、歓声が上がった。

     
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