シリア方面では、イスラエル軍は攻勢に出ていた。
それに、ミサイル艇隊も協力することとなった。
ラタキア港付近の石油タンク群に砲撃を加え、港から出てきたシリアのミサイル艇を撃破するのが作戦目的だ。
出撃は4隻で、その内の1隻は指揮艦艇級のレシェフ級となる。
レシェフ級は、アミルの乗るサール級の2倍の大きさだ。
ラタキアまで20キロに近づく。
海面に月光が映り、幻想的な美しさだ。
遠くの山々が影絵のように、水平線上に浮かび上がる。
シリア側は、とっくに我々を探知していることだろう。
艇隊の3隻を残し、指揮艦艇が海岸に近づく。
“ドン、ドン”
指揮艦艇の周辺に水柱が上がる。
指揮艦艇の76ミリ砲が陸上を砲撃し始めた。
すぐ、石油タンクから炎が吹き上がる。
「敵、ミサイル発射!」
港内のシリア・ミサイル艇がミサイルを発射した。
「ミサイル防御!」
「ミサイル発射用意!」
“ヘレプ”は激しく回避運動を始める。
火の玉がまっすぐこちらに突進してくる。
チャフ・ロケットが発射され、機関砲が火を吐く。
”ドカン!!“
大爆発が起こる。
アミルは床に転げ落ちた。
ミサイルは“ヘレプ”の右舷海面で爆発した。
爆発は船体を損傷させ、水兵2人をその破片で殺した。
電子技術将校が艇長に叱責される。
「敵はミサイル・レーダーの周波数を変えたようです。対応が遅れました!」
効果は期待できないが、艇隊から港に向け、ミサイルが発射された。
「アサド(シリア大統領)へのプレゼントだ!」
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