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第5話(1)

 戦いは続く(1)

 シリアの1千台を超える戦車部隊が侵攻したゴラン高原では、同部隊とイスラエルの戦車部隊との間で、第2次世界大戦以来の激しい戦車戦が展開されていた。

 最初イスラエル軍を圧倒していたシリア軍だが、イスラエルの増援部隊が到着するにつれ、徐々に押され、4日後には壊滅状態になってしまった。

 シナイ半島では、エジプト軍がスエズ運河を渡河し、強力な橋頭堡を運河東側に築くことに成功した。
イスラエル軍は反撃を試みたが、対空ミサイル網と大量に投入された歩兵携帯対戦車ミサイルや対戦車ロケット砲により粉砕された。
イスラエル軍は防御態勢に入り、南部戦線は小康状態となった。


 シリアの要請によるエジプト軍の東進が予想され、戦線後方に侵入したエジプト軍コマンドの掃討が急務となった。

 その夜は、アミルの乗る“ヘレプ”ともう1隻でペアを組み、シナイ半島地中海沿岸海域をパトロールしていた。
陸は灯火1つ無い、真っ暗闇だ。

 レーダー員が報告する。
「不明確ですが、海岸沿いを何かが移動しています。」
「よし、接近しよう。ただし、1000メートルまでだ。」

 艇長が双眼鏡で観察すると、漁船のようだ。
「沈めますか?」
「いや、待て、キプロスの魚船が密漁している、という情報もある。警告射撃をする。」

 40ミリ機関砲の曳光弾が、漁船前方の海に吸い込まれる。
停止する様子は見られない。

 「撃て!」

機関砲弾が黒いい船体に吸い込まれ、黄色い炎を上げる。
漁船のデッキからロケット弾がこちらに向け、飛び出した。
機銃もめちゃくちゃに撃ってくる。

 漁船が火に包まれる。
逃亡を計り、海岸に乗り上げた。

 弾薬に引火したらしく、大きな火の玉が生じ、船をバラバラにした。

 参考図: 「図説・中東戦争全史」、学習研究社、2003
     
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