数人の黒人が槍を片手に藪の中に潜み、ディアス号の方を伺っている。
マルコらは2手に分かれた。
マルコら3人は、喚声を上げ藪に突進する。
黒人らは慌てて立ち上がり、逃げ出した。
その内の1人が振り向きざま、槍を投げつけてきた。
槍はマルコの頭をかすめ、樹に突き刺さる。
黒人らの逃げた先に兵士らが待ち伏せし、5人を捕らえ、1人を倒した。
今後、原住民らの攻撃が予想されるため、樹を切り倒し、船の周りに陣地を作った。
案の定、夜、大勢の原住民が押し寄せてきた。
海からは多数の丸木舟に乗って、陸からは盾で身を隠しながら迫ってくる。
一斉に矢を射かけ、槍を投げてきた。
船からは、兵士らがマスケット銃や石弓で反撃する。
マルコは板で矢を防ぎながら、丸太の影に身を潜めた。
相手が近づいたら、槍で戦うのだ。
“やれやれ、金の一粒も見ずにあの世行きか!”
相手は、不思議と突撃してこない。
船から旋回砲が轟音をあげ、砲弾が丸木舟の間や原住民の間に落下する。
火を噴く怪物に驚いたのか、原住民達は倒れた者を残し、引き上げていった。
兵士や乗務員にも5人の死傷者が出た。
船体の応急修理を行い、満潮と共に沖に出る。
悪いことは重なるものだ。
船に、熱帯性の病気と思われる病人が発生した。
高熱を出し、がたがた震えている。
「隊長、これ以上の南下は無理です。戻りましょう。」
ラホイ騎士が、逡巡するディアス隊長を説得する。
「南に金の産地があるという情報を得たし、ギネー人を捕らえることもできた。」
「よし、帰還しよう。」
こうして、マルコの冒険行は終わった。
参考図:「大航海時代」、森村宗冬、新紀元社、2003
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