ここはイングランド南部、ロンドンの西120キロ程の所にあるソールズベリー郊外の田園地帯だ。
麦畑や牧草地の間を小川が流れている。
ダーウィン少年は夢中になってトンボを追いかけていた。
ヨシのとんがった葉の先端にトンボがとまっている。
息を殺し、採集網を持って、そっと近づく。
網をかぶせようとした瞬間、緑と黒の縞模様をしたトンボは、サッと飛び去った。
それでも、1時間ほどして2匹のトンボを捕まえた。
虫かごに入れ、家に持って帰る。
姉たちは怖がって、眉をひそめる。
「離してあげなさい。それはドラゴンの生まれ変わりよ。」
ダーウィン少年は部屋にこもり、観察を続けた。
“なんて大きな眼をしているんだろう。この羽の模様はステキだ。”
博物学者の祖父の家に行き、昆虫図鑑を借りてくる。
そこには、世界各地のトンボが紹介してあった。
いろいろな形状のトンボがいる。
胴の模様や色も千差万別だ。
羽や腹端部にも、それぞれの特徴がある。
そして、それらが細かく分類されていた。
“同じトンボなのに、何でこんなに違うのだろう?”
“よし、大人になったら、おじいさんのように生きものの研究をしよう。”
“世界各地を回って、いろいろな生きもののことを調べるんだ!”
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