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トラファルガル海戦(11)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

TRAFALGAR (11)
 They by degrees got so close that, at noon, the French ship Fougueux opened fire upon the Royal Sovereign (Collingwood’s flag-ship), then upon her port bow and well within shot. Soon after the Fougueux and the ships next ahead and astern of her had opened fire, the Royal Sovereign returned it, but Nelson made signal to engage more closely, and Collingwood ceased firing.

 Soon after midday Collingwood had reached a position close astern of the Santa Anna, 112, and fired into her, with double-shotted guns, and with such precision that, by the subsequent admission of Spanish officers, she killed or wounded nearly four hundred of her crew. With the starboard broadside similarly shotted, the Royal Sovereign raked the Fougueux, but, owing to distance, with less effect.

 In a short time the British ship Belleisle followed through the combined line, which owing to some of the ships astern of the Fougueux pressing forward to support the centre, while others kept their sails aback, or shivering, was fast losing the tolerably regular form it had had.

トラファルガル海戦(11)
 イギリス艦隊は徐々に敵に接近し、正午にはフランス艦フグーはロイヤル・ソヴェリン(コリングウッドの旗艦)に砲火を開いた。  それは船首左舷への至近弾となった。  フグーとその前後の艦が砲火を開いた直後、ロイヤル・ソヴェリンもそれに反撃した。  しかし、ネルソンがもっと近づいてから戦うよう信号を送ったので、コリングウッドは砲撃を中止した。

 正午まもなく、コリングウッドはサンタ・アナ(112門艦)の船尾近くに近づいたので、2連発砲で砲撃した。  その砲撃はかなり正確で、後のスペイン人士官の証言によれば、サンタ・アナの乗組員400人の多くを殺すか、負傷させたのである。  右舷の一斉砲撃により、ロイヤル・ソヴェリンはフグーを掃射した。  しかし、距離があったので、効果は少なかった。

 イギリス艦ベライルは、素早く連合艦隊の戦列に入り込んだ。  その戦列では、フグーより後ろの何隻かは、中央を援護するため前方に押し出したし、他の艦は逆帆にしたり、帆を緩めたりした。  そのため、それまで保っていた、まあまあの通常陣形をあっという間に無くしてしまった。

(ひとこと)
 ネルソンはネルソン・タッチと呼ばれる海戦戦術を作り上げた。  従来の単縦列戦闘序列を破棄し、戦隊の相互支援のもと、直角に敵戦列に突入し、接近戦、格闘戦により敵を撃滅するという戦術で、従来の砲撃により敵の動きを止め、接舷しての白兵戦で敵船を拿捕するという戦術から一線を画すものだった。  次の時代の艦隊決戦の先駆けとなるものだった。  この背景には、砲火力の向上と操船性能の向上がある。
〔参考図:ロイ・アドキンズ著、山本史郎訳「トラファルガル海戦物語」、p149、原書房〕
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