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第2話(4)

 天山を越えて(4)

 玄奘一行は天山を抜け、草原地帯に出た。

 褐色の大地を見慣れてきた目には、緑がまぶしく映る。
大清池(イシク・クル湖)の湖畔には、リンゴの並木が拡がる。


 この一帯は、西突厥の本拠地である。
玄奘は突厥のヤブグ可汗に会い、説話をする。

 可汗は感じ入り、玄奘に諸国への通知書を与え、通訳官をつけた。

 玄奘一行は中央アジアの草原地帯を南下し、シル・ダリア河を越えた。
砂漠を通り、東西交易の要都、サマルカンドに着く。
 
 サマルカンドでは王、住民共に、ゾロアスター教(拝火教)を信仰していた。
玄奘の説話に、王は心を開く。

 平原地帯をさらに南下すると、ヒンドゥークシュの山並みが見えてきた。

 赤褐色の絶壁に挟まれた隘路を通る。
  鉄門だ。
 見上げると、青い空が絶壁の隙間から見えた。


 数日して、ヒンドゥークシュの山中にあるバーミヤン国に着いた。

 玄奘一行は、国王や僧達の出迎えを受ける。
バーミヤンでは、仏教が非常に盛んであった。

 百を超える寺院が建ち、数千の僧が小乗仏教を学んでいる。
近くの岩壁には、50メートルを越える仏像が彫られており、人々が礼拝していた。

 玄奘は天竺で学んできたという僧に尋ねる。
「ここでは良く仏陀の教えが信仰されているようですね。」

 「ここでは仏教の高遠な哲理は必要としません。」
「彼らを魅了しているのは、仏教の中にある現世利益を満たすことに関した部分だけです。」
 
 参考図:「マルコ・ポーロ」、ニック・マカーティ、BL出版
     
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