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第6話(1)

カルムイク大平原(1)

 1941年6月、ヒットラー・ドイツの大軍300万は独ソ不可侵条約を一方的に破り、ソ連に侵入した。
スターリンの判断ミスと赤軍大粛清の後遺症で弱体化していたソ連軍は、緒戦で大敗北を被った。

 独ソ開戦のニュースは、極東でも直ちに知れ渡った。
「母なるロシアを救え!」
「ファシスト・ドイツに鉄槌を!」

 若者は召集され、職場でも志願兵が募られた。
人数が部署ごとに割り当てられる。
山本らも職長から、
「ソビェト連邦への忠誠心を示せ!」
と言われ、志願、その日のうちに教育隊に入隊した。

 「アディン、ドバ、トレス ---- 」(1,2,3 --- )
どこの国でも同じで、行進から始まり、駆け足、匍匐前進となる。
但し、ビンタはなかった。

 しばらくして選別が始まり、山本は戦車隊にいたことから、戦区の戦車旅団に配属された。

 戦車の操縦を習う。
練習車両はノモンハンで戦ったことのある、BT7型戦車だ。
日本軍の戦車に比べると、一回り大きく、頑丈に作られている。
見た目を気にしない、いかにも“兵器”だ。
キャタピラ幅が広く、泥海でも高速がだせる。

 同じ隊に配属された元日本兵は、日本では機械工で、組合活動もしたことのある斉藤という男だった。

 斉藤は、重労働で心も身体も弱っていた。
「こんなはずではなかった。普通の市民生活が送れる、と言っていたのに。」
「日本に帰りたい。」
「そんな考えは捨てろ。ここで何としても生き抜くんだ。」
「時代が変われば、俺たちの環境も変わる。」

参考図:「燃える東部戦線」、ハリソン・ソールズベリー著
     
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