※我儘なひとの番外編。ランチアさん編とでも言いましょうか。
一応読んで無くても読めます☆
因みに捏造してます。ランチアさん復讐者に
つれさられてません。
「ありがとうございます、ランチアさん」
あの後病院に搬送され、改めて彼と話すことが出来た時、彼――ボンゴレ10代目はそう開口一番に切り出した。そのマフィアのボスになるとは思えないほどの幼い無垢な笑顔に、けれどしかし真実を見抜ける鋭い…そして優しい強さを備えている事を自分は知っている。
「俺はお前に礼を言われるような事は何もしていない。…むしろこっちが礼を言わなければならん」
長年かかっていた骸の暗示をほんの数分で看破し、さらにその言葉で開放してくれた、この目の前の少年に。
「いいえ…ランチアさんは俺を庇ってくれたじゃないですか。それに、俺に大事な事を思い出させてくれた…」
「大事な事…?」
「はい」
怪訝な顔をしたランチアに、綱吉はにこりと微笑みながら断言する。
「俺は何時まで経ってもダメツナで…。俺、本当はあの時、もうこんなに痛くて恐い事ばっかりならもういいやって、獄寺君やフゥ太達の事も考えずに諦めかけてたんです…」
痛いのは嫌だったから。恐いのは耐えられなかったから。
もういいか、とここで諦めたら骸に体を乗っ取られて彼の宣言通り自分のからだを使って獄寺君を、ビアンキを、フゥ太を、ヒバリさんをこの手に掛けなければならない事にも気付かず、自分が弱いばかりに自分の事しか考えなかった。
あの絶望の中、自分を想ってくれる言葉の中に、そして何よりも大切な事を気付かせてくれたその言葉に自分は勇気をもらったのだ。
今ままで逃げてばかりだった自分の人生で初めて正面から立ち向かえた。
だから……。
「だから誰が何と言おうと俺はランチアさんに感謝します」
綱吉の言葉にようやく諦めたのか、ランチアは不器用な苦笑混じりの笑みを浮かべる。
その笑みに綱吉もほっと安心したような表情を零す。
それを見やりながらランチアは綱吉に改めて向き直る。
「ならば俺からの感謝の気持ちも受けとってくれるか。…ボンゴレ10代目、骸から解放してくれてありがとう…。お前にはいくら感謝しても感謝しきれん」
「じゃあ…、お互い様ですね。これでおあいこって事にしましょう」
にっこりと綱吉は良い事を言ったとばかりに微笑む。
そんな彼の様子にどう見ても自分の借りの方が大きいのだが…と思いつつも苦笑し、それ以上はもう蒸し返さないようにした。
その後は他愛もない話をして、彼は病室からでて、帰っていった。
それと同時に室内に音も無く何者かが入って来る。
ランチアは敏感にそれを感知しながら何も反応を起こさなかった。カチッと自分に照準を当てられる音を聞きながら子供にしては低い声が透る。
「何の抵抗もしないとは…。相手が俺だと知っての事か、もしくはそうなってもしかたがないとか考えてるのか?」
俺も舐められたものだな、と毒舌を吐きながら件の家庭教師が姿を現わす。
「…俺にはアルコバレーノたるお前に勝てる気はしないし、自分の愚かしさも十分に承知している」
「ふんっ、殊勝なことだな」
どこか嘲るように赤子らしからぬ表情を見せ、今までランチアに照準を向けていた黒塗りの拳銃を下げる。
そしてそのまままるで一切の感情が見えないような平坦な声で告げる。
「ランチア、現在お前の処分の決定権はボンゴレ9代目に一任されている。この事件が終息した今、全ての報告がなされた後、お前の処分が決定されるだろう。それまではボンゴレの監視下にいてもらう」
それは既に決定付けられた事柄を淡々と告げているの過ぎなかった。
「了解した」
けれどランチアには今更それに反抗する気も何も無かったため、あっさりそれを受け入れる。
「いいのか。どの道お前に残っているのは処刑しかないんだぞ」
リボーンはどこか探るような眼でランチアを睨むがランチアは珍しく微笑さえしていた。
「構わない。それが妥当な事なんだろう。俺にはそれに歯向かう気は毛頭ない。いくら骸に操られていたとは言え、俺の犯した罪は俺が死んで償え切れるものでもない・・・。だがそれ以上の選択肢は無いだろう」
それに・・・、と一端ランチアは窓辺に視線を寄せた。
そこにはさっきランチアの部屋から出た綱吉が病院を出て行く後姿が見える。
「最後の最後で、俺は救われた・・・。闇の中をただ流離ってもがき苦しんでいた俺に、あいつは光を与えてくれた。・・・それで十分だ」
マフィアにこの身をやつしてから、初めから碌な死に方はしないと思っていた。けれど骸により自分の意識を乗っ取られどうにもならない地獄に絶望を感じていた。
そんな苦しみを突然解放してくれた、・・・・小さな島国の小さな偉大なる重圧を持つファミリーのボス候補とは思えない少年によって。
それだけでも自分には奇跡だったのだ。
それ以上を望む気は、ランチアにはさらさらなかった。
そんなランチアを、無表情な眼で睥睨し、リボーンもまた、その視線をランチアから病院の窓から見える自分の教え子に寄せた。
『ランチアさん・・・どうなるの?』
『すべては9代目の心しだいだな』
暗にランチアの命は危ういのだと示す。
・・・本当はいくらゴッドファーザーと言われる9代目とて、今回の出来事はあまりにも広範囲のマフィアに被害が大きかったため、必然的にランチアの処刑は決まっているも同然のことだった。
『そんな・・・そんな事だめだよ!!ランチアさん・・・ずっと苦しんでたんだよ!?なのに・・・絶対だめだ!!』
『この馬鹿ツナが・・!!口で言うだけなら何とでもなるだろう!だがランチアには操られているとはいえ歴然たる罪状がある。それらを逃すわけにはいかねえんだ、・・・いくら次期十代目とはいえ、何の権限も無いお前に、どうこうできる問題じゃない』
『・・・だったら、9代目だったら良いって言うの』
どこか常とは違う静かな声で、綱吉はひたすらにリボーンの黒曜石のような瞳を睨む。
『・・・そうだとしたら?』
リボーンも常に無い厳しさで綱吉を睨みつける。
緊張した空気が張るつめる室内で、綱吉が静かに動く。
その眼が密かに金色に光ったのを、リボーンは見逃さなかった。
(ブラット・オブ・ボンゴレ!?)
一瞬の隙を突き、綱吉の手に不慣れな黒塗りの拳銃が握られていた。
『この馬鹿ツナっ・・・!!』
『前にディーノさんがくれたの、まだ持ってたんだよ』
『・・・っ・・・!!』
リボーンは内心、元教え子のうかつさに、心底殴り倒したい殺意を憶えた。もっとも、その時点では綱吉が自ら望んでそんな物を持つとはディーノもリボーンも想像もしなかったのだろうが。
綱吉は静かにその銃口を自らの米神に当てた。
リボーンもまさか自分に向けてくるほど無謀ではないと分かっていたため、こうなる事は歴然としていたが、それでもツナが・・とショックは隠しきれない。
『今直ぐ9代目に連絡して。ランチアさんの命は絶対に助けるって約束してくれないと、・・・俺、本気だから』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
綱吉の視線は揺るがない。
・・・リボーンが陥落したのは、この数分後のことだった。
2日前の忌まわしい出来事を思い出し、ランチアを脅すぐらい自分が体験したあの屈辱より軽いものだろうと去って行く綱吉の後姿を見ながら吐き捨てる。
目の前の男は、自分が何をしでかしたのか、おそらく一生知ることは無いのだろうと忌々しい気分で一杯になる。
この一年半近く育ててきた教え子が、たった一日で自分を脅すほどの成長を遂げた。
その要因の大部分がこの男の所為だと、苛立ちが勝る中に、悔しさが含まれていることに、リボーンは自分で自分の感情に蓋をした。
「だったら、せいぜい自分の余生を楽しむんだな」
そう言い放ち黒衣の死神は颯爽と踵を返した。
「ああ・・・・そうだな」
微笑むランチアにこの苛立ちと愛惜は今日限りだと自分に叩き込む。
自分は一流のヒットマンだ。
感情の波に浚われていては一番危ないことも十二分に理解している。
だから今日が最後だ、とりボーンは歯を食いしばる。
綱吉にあんな覚悟をさせたランチアを憎むことも、その覚悟を引き出したのが自分ではない悔しさも、何もかも今日限りだ。
けれどこの感情を、自分が一生忘れないだろう事をリボーンは理解していた。
残されたランチアの病室には、窓から入り込んだ風に巻かれるカーテンが静かにはためいていた。
コメント:あ・・・れ?(汗)ランチアさん編がいつの間にかリボーン編になってしまいました;;
何も知らないランチアさん。それ故にいらだつリボ様。
結局この時点でランチアさんは放免が決まっています。そのため、最後の仕事とばかりにランチアさんを試していました。でもそのうち自分が苛立ってきてしまったという話。
ツナに脅されるリボーンが書きたかった・・。(死)
なんだかんだいって綱吉に勝てないリボーンが好きですv
因みにこの後元教え子に説教かましに行きます。(哀)
一応読んで無くても読めます☆
因みに捏造してます。ランチアさん復讐者に
つれさられてません。
「ありがとうございます、ランチアさん」
あの後病院に搬送され、改めて彼と話すことが出来た時、彼――ボンゴレ10代目はそう開口一番に切り出した。そのマフィアのボスになるとは思えないほどの幼い無垢な笑顔に、けれどしかし真実を見抜ける鋭い…そして優しい強さを備えている事を自分は知っている。
「俺はお前に礼を言われるような事は何もしていない。…むしろこっちが礼を言わなければならん」
長年かかっていた骸の暗示をほんの数分で看破し、さらにその言葉で開放してくれた、この目の前の少年に。
「いいえ…ランチアさんは俺を庇ってくれたじゃないですか。それに、俺に大事な事を思い出させてくれた…」
「大事な事…?」
「はい」
怪訝な顔をしたランチアに、綱吉はにこりと微笑みながら断言する。
「俺は何時まで経ってもダメツナで…。俺、本当はあの時、もうこんなに痛くて恐い事ばっかりならもういいやって、獄寺君やフゥ太達の事も考えずに諦めかけてたんです…」
痛いのは嫌だったから。恐いのは耐えられなかったから。
もういいか、とここで諦めたら骸に体を乗っ取られて彼の宣言通り自分のからだを使って獄寺君を、ビアンキを、フゥ太を、ヒバリさんをこの手に掛けなければならない事にも気付かず、自分が弱いばかりに自分の事しか考えなかった。
あの絶望の中、自分を想ってくれる言葉の中に、そして何よりも大切な事を気付かせてくれたその言葉に自分は勇気をもらったのだ。
今ままで逃げてばかりだった自分の人生で初めて正面から立ち向かえた。
だから……。
「だから誰が何と言おうと俺はランチアさんに感謝します」
綱吉の言葉にようやく諦めたのか、ランチアは不器用な苦笑混じりの笑みを浮かべる。
その笑みに綱吉もほっと安心したような表情を零す。
それを見やりながらランチアは綱吉に改めて向き直る。
「ならば俺からの感謝の気持ちも受けとってくれるか。…ボンゴレ10代目、骸から解放してくれてありがとう…。お前にはいくら感謝しても感謝しきれん」
「じゃあ…、お互い様ですね。これでおあいこって事にしましょう」
にっこりと綱吉は良い事を言ったとばかりに微笑む。
そんな彼の様子にどう見ても自分の借りの方が大きいのだが…と思いつつも苦笑し、それ以上はもう蒸し返さないようにした。
その後は他愛もない話をして、彼は病室からでて、帰っていった。
それと同時に室内に音も無く何者かが入って来る。
ランチアは敏感にそれを感知しながら何も反応を起こさなかった。カチッと自分に照準を当てられる音を聞きながら子供にしては低い声が透る。
「何の抵抗もしないとは…。相手が俺だと知っての事か、もしくはそうなってもしかたがないとか考えてるのか?」
俺も舐められたものだな、と毒舌を吐きながら件の家庭教師が姿を現わす。
「…俺にはアルコバレーノたるお前に勝てる気はしないし、自分の愚かしさも十分に承知している」
「ふんっ、殊勝なことだな」
どこか嘲るように赤子らしからぬ表情を見せ、今までランチアに照準を向けていた黒塗りの拳銃を下げる。
そしてそのまままるで一切の感情が見えないような平坦な声で告げる。
「ランチア、現在お前の処分の決定権はボンゴレ9代目に一任されている。この事件が終息した今、全ての報告がなされた後、お前の処分が決定されるだろう。それまではボンゴレの監視下にいてもらう」
それは既に決定付けられた事柄を淡々と告げているの過ぎなかった。
「了解した」
けれどランチアには今更それに反抗する気も何も無かったため、あっさりそれを受け入れる。
「いいのか。どの道お前に残っているのは処刑しかないんだぞ」
リボーンはどこか探るような眼でランチアを睨むがランチアは珍しく微笑さえしていた。
「構わない。それが妥当な事なんだろう。俺にはそれに歯向かう気は毛頭ない。いくら骸に操られていたとは言え、俺の犯した罪は俺が死んで償え切れるものでもない・・・。だがそれ以上の選択肢は無いだろう」
それに・・・、と一端ランチアは窓辺に視線を寄せた。
そこにはさっきランチアの部屋から出た綱吉が病院を出て行く後姿が見える。
「最後の最後で、俺は救われた・・・。闇の中をただ流離ってもがき苦しんでいた俺に、あいつは光を与えてくれた。・・・それで十分だ」
マフィアにこの身をやつしてから、初めから碌な死に方はしないと思っていた。けれど骸により自分の意識を乗っ取られどうにもならない地獄に絶望を感じていた。
そんな苦しみを突然解放してくれた、・・・・小さな島国の小さな偉大なる重圧を持つファミリーのボス候補とは思えない少年によって。
それだけでも自分には奇跡だったのだ。
それ以上を望む気は、ランチアにはさらさらなかった。
そんなランチアを、無表情な眼で睥睨し、リボーンもまた、その視線をランチアから病院の窓から見える自分の教え子に寄せた。
『ランチアさん・・・どうなるの?』
『すべては9代目の心しだいだな』
暗にランチアの命は危ういのだと示す。
・・・本当はいくらゴッドファーザーと言われる9代目とて、今回の出来事はあまりにも広範囲のマフィアに被害が大きかったため、必然的にランチアの処刑は決まっているも同然のことだった。
『そんな・・・そんな事だめだよ!!ランチアさん・・・ずっと苦しんでたんだよ!?なのに・・・絶対だめだ!!』
『この馬鹿ツナが・・!!口で言うだけなら何とでもなるだろう!だがランチアには操られているとはいえ歴然たる罪状がある。それらを逃すわけにはいかねえんだ、・・・いくら次期十代目とはいえ、何の権限も無いお前に、どうこうできる問題じゃない』
『・・・だったら、9代目だったら良いって言うの』
どこか常とは違う静かな声で、綱吉はひたすらにリボーンの黒曜石のような瞳を睨む。
『・・・そうだとしたら?』
リボーンも常に無い厳しさで綱吉を睨みつける。
緊張した空気が張るつめる室内で、綱吉が静かに動く。
その眼が密かに金色に光ったのを、リボーンは見逃さなかった。
(ブラット・オブ・ボンゴレ!?)
一瞬の隙を突き、綱吉の手に不慣れな黒塗りの拳銃が握られていた。
『この馬鹿ツナっ・・・!!』
『前にディーノさんがくれたの、まだ持ってたんだよ』
『・・・っ・・・!!』
リボーンは内心、元教え子のうかつさに、心底殴り倒したい殺意を憶えた。もっとも、その時点では綱吉が自ら望んでそんな物を持つとはディーノもリボーンも想像もしなかったのだろうが。
綱吉は静かにその銃口を自らの米神に当てた。
リボーンもまさか自分に向けてくるほど無謀ではないと分かっていたため、こうなる事は歴然としていたが、それでもツナが・・とショックは隠しきれない。
『今直ぐ9代目に連絡して。ランチアさんの命は絶対に助けるって約束してくれないと、・・・俺、本気だから』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
綱吉の視線は揺るがない。
・・・リボーンが陥落したのは、この数分後のことだった。
2日前の忌まわしい出来事を思い出し、ランチアを脅すぐらい自分が体験したあの屈辱より軽いものだろうと去って行く綱吉の後姿を見ながら吐き捨てる。
目の前の男は、自分が何をしでかしたのか、おそらく一生知ることは無いのだろうと忌々しい気分で一杯になる。
この一年半近く育ててきた教え子が、たった一日で自分を脅すほどの成長を遂げた。
その要因の大部分がこの男の所為だと、苛立ちが勝る中に、悔しさが含まれていることに、リボーンは自分で自分の感情に蓋をした。
「だったら、せいぜい自分の余生を楽しむんだな」
そう言い放ち黒衣の死神は颯爽と踵を返した。
「ああ・・・・そうだな」
微笑むランチアにこの苛立ちと愛惜は今日限りだと自分に叩き込む。
自分は一流のヒットマンだ。
感情の波に浚われていては一番危ないことも十二分に理解している。
だから今日が最後だ、とりボーンは歯を食いしばる。
綱吉にあんな覚悟をさせたランチアを憎むことも、その覚悟を引き出したのが自分ではない悔しさも、何もかも今日限りだ。
けれどこの感情を、自分が一生忘れないだろう事をリボーンは理解していた。
残されたランチアの病室には、窓から入り込んだ風に巻かれるカーテンが静かにはためいていた。
コメント:あ・・・れ?(汗)ランチアさん編がいつの間にかリボーン編になってしまいました;;
何も知らないランチアさん。それ故にいらだつリボ様。
結局この時点でランチアさんは放免が決まっています。そのため、最後の仕事とばかりにランチアさんを試していました。でもそのうち自分が苛立ってきてしまったという話。
ツナに脅されるリボーンが書きたかった・・。(死)
なんだかんだいって綱吉に勝てないリボーンが好きですv
因みにこの後元教え子に説教かましに行きます。(哀)