愛の手に（復活*綱吉＋？）

※バレンタイン小説。誰か＋綱吉です。





聖・バレンタイン。

２月１４日は乙女の聖戦である。

しかし、だからと言って全ての人間がその恩恵に預かれるわけではない。

「だからって、なんで俺が作んなきゃなんないわけ？」

とぼとぼと歩きながら愚痴る綱吉の手には紙袋が。
この日は聖・バレンタイン…無論、中身はチョコレートだ。

…自分が作った。

それだけ聞くと痛い奴と勘違いされそうだが最近は男から女性に渡す『逆チョコ』らしきものがあるらしく、新しいもの好きな家庭教師に強制されたのだ。

「しかもビアンキが講師って…。まぁ、何とか無事に食べられるもの作れて良かったけど」

まさに奇跡。

そこら辺の苦労は推して図るべし、というやつである。

一応味は家庭教師に合格点をもらえたし、母親を筆頭にビアンキ、イーピン、ハルに京子ちゃん、そしてさっき髑髏に渡してミッション・コンプリートである。

何より彼女達にことのほか喜んでもらえて、これで恥ずかしい思いをしてバレンタインコーナーに特攻を掛けた甲斐があるというものである。



そしてこれはたまたま残ったひとつ。


「自分で自分の食べるってのは…なぁ」

いくらなんでも虚しすぎる。

そんなことを考えていたら前方が疎かになっていて。
曲がり角の人影に気が付かなかった。


ドン！


「「うわっ！」」


互いに衝撃が殺せず、尻餅を付いてしまう。


「いってて…、あ…だ、大丈夫ですか？」

「あ、だ…大丈夫ですっ！い、急いでいるんで…失礼しますっ！」

ひっ、と息を呑むような声が聞こえた後一息に言い放ち綱吉が相手を視認する間も無く相手は走り去っていった。


「なんなんだったんだ…？」


呟きながら、落としてしまった紙袋を見てやっぱり自分で食べるか…と家路に着く綱吉だった。





「え？あれ…これ俺が作ったやつじゃない！もしかして…さっきぶつかった時…」





「うわぁ…！また会っちゃったよ！どうしよう、つい逃げちゃったけど…どうしたら。折角人生初のバレンタインチョコに浮かれてたのに…！」







「あ、あの…手作りチョコレートありがとう」


「え？私既製品の義理チョコしか入江くんにはあげてないけど…？」






「え…？」









ハッピーバレンタイン！
正一は無意識に良い思いをしてれば良い。
因みに後年、綱吉から話を聞いた正一はその手作りチョコレートの作り手に気付いて密かに狂喜乱舞します(笑)