自分が不覚にも寝込んでいるうちに、事態はかなり深刻なものとなっていた。
最後に会った骸様との交信に遭遇した『彼』も恐らく、ここにいるのだろう。
そう考えると、なんだか嫌な気持ちになってくる。
正直、彼に会いたくはない。
何故か、引き摺られてしまいそうになる。
あの時の、彼の強い拒絶が、今だ髑髏の心のどこかに残っているような感じがする。
それぐらい、彼の拒絶が凄まじかったのだ。
そんな彼らの元に、ボス達が向かっているという。
戦うことを、誰よりも厭うている彼が。
だれよりも、なによりも優しいあの人が。
私達のために。
彼女達のために。
なら、私は?
私も彼女達と同じようにただボスが、骸様達が敵を倒してくれて、未来に戻る術を見つけてくれるのをただ、待っていろと。
そんなことになれば、正しく私は何のために存在しているのか分からない役立たずになってしまう。
勿論、ボスはそんなこと少しも考えてはいないだろう。
けれど、私の矜持がそれを許さない。
だって私はボンゴレの、ボスの霧の守護者。
例え、それが本来は骸様の物だとしても、でも、私だってそんなに簡単に諦めたりしない。
諦めたくはない。
だって、ボスが認めてくれたもの。
『私』を望んでくれた。
だから・・・!
「クロームさん。・・・貴女には、些か厳しい状況ですが・・・」
言いよどむあの雲の守護者の部下だと名乗った男に、未だ術の余韻にふらつく身体に叱咤して立ち上がる。
「大丈夫…ボスの下へ、私も連れていって下さい」
ここで行かなければ、私は守護者失格だ。
骸様にも怒られてしまう。
「行きます。私はボンゴレの霧の守護者クローム髑髏、ボスを、大空の名を冠する彼を守護する者」
きっ、と片方しかない瞳に固い決意を秘めて一点の曇りもなく揺るぎなく草壁を見つめてくる。
それに根負けした形で草壁は頷く。
「元々、守護者は全員沢田さんの下へ、というリボーンさんからの命ですから」
「はい」
背にイーピンとランボを背負い草壁は敵陣の真っ只中を突っ切っていく。
背後のクロームを時折気にかけながら草壁は先程の彼女とのやり取りを思い出さずにはいられなかった。
あの年で守護者としてのプライドは、自覚はひょっとして誰よりしているのではないかと思わせる。
正直守護者の存在の中で彼女は一番イレギュラーな存在だと思っていた。
あの六道骸の依代。
彼女は六道骸に付き従っているだけだと思っていたのだが。
彼女は予想以上に彼に、沢田綱吉に心を許しているようだった。 いくら不遇な境遇に立たされていた所を骸に助けられたとはいえ、特殊な体質であったとはいえ、彼女は極普通の一般人。
命を救ってもらった骸に尽くすなら分かるが、出会ってまだ数回しか顔を会わしていない沢田に向ける感情にしては些か疑問に感じる。
だが、彼女の思いは本物であり、彼女にそう思わせるほどのものが沢田にはあるということか。
(いや、それも今更だな。何と言っても恭さんが自ら囮になると言ったぐらいなのだから)
あの孤高の自分の敬愛する上司が他人のためにわざわざ手を貸すことなど天変地異が起こってもありえない。
それがあり得たのは、そこに沢田綱吉がいたから。
この時代に、『大空』が舞い戻って来た限り。
二度と敗北という二文字を味わう訳にはいかない。
それが、彼のボンゴレの名高き守護者ならば。
大空に付き従う守護者なら。
どんなに幼かろうと守護者は守護者なのだから。
コメント:更新しようと思っていたのと違うの書いてしまいました(苦笑)
今週の草壁さんと髑髏の会話に萌えて(笑)
髑髏は何だかんだ言って綱吉の、ボンゴレの守護者だと言う自覚がありますよね。あんなに無理して敵陣に来てるんですし・・・。と思って書いた小説でした。
最後に会った骸様との交信に遭遇した『彼』も恐らく、ここにいるのだろう。
そう考えると、なんだか嫌な気持ちになってくる。
正直、彼に会いたくはない。
何故か、引き摺られてしまいそうになる。
あの時の、彼の強い拒絶が、今だ髑髏の心のどこかに残っているような感じがする。
それぐらい、彼の拒絶が凄まじかったのだ。
そんな彼らの元に、ボス達が向かっているという。
戦うことを、誰よりも厭うている彼が。
だれよりも、なによりも優しいあの人が。
私達のために。
彼女達のために。
なら、私は?
私も彼女達と同じようにただボスが、骸様達が敵を倒してくれて、未来に戻る術を見つけてくれるのをただ、待っていろと。
そんなことになれば、正しく私は何のために存在しているのか分からない役立たずになってしまう。
勿論、ボスはそんなこと少しも考えてはいないだろう。
けれど、私の矜持がそれを許さない。
だって私はボンゴレの、ボスの霧の守護者。
例え、それが本来は骸様の物だとしても、でも、私だってそんなに簡単に諦めたりしない。
諦めたくはない。
だって、ボスが認めてくれたもの。
『私』を望んでくれた。
だから・・・!
「クロームさん。・・・貴女には、些か厳しい状況ですが・・・」
言いよどむあの雲の守護者の部下だと名乗った男に、未だ術の余韻にふらつく身体に叱咤して立ち上がる。
「大丈夫…ボスの下へ、私も連れていって下さい」
ここで行かなければ、私は守護者失格だ。
骸様にも怒られてしまう。
「行きます。私はボンゴレの霧の守護者クローム髑髏、ボスを、大空の名を冠する彼を守護する者」
きっ、と片方しかない瞳に固い決意を秘めて一点の曇りもなく揺るぎなく草壁を見つめてくる。
それに根負けした形で草壁は頷く。
「元々、守護者は全員沢田さんの下へ、というリボーンさんからの命ですから」
「はい」
背にイーピンとランボを背負い草壁は敵陣の真っ只中を突っ切っていく。
背後のクロームを時折気にかけながら草壁は先程の彼女とのやり取りを思い出さずにはいられなかった。
あの年で守護者としてのプライドは、自覚はひょっとして誰よりしているのではないかと思わせる。
正直守護者の存在の中で彼女は一番イレギュラーな存在だと思っていた。
あの六道骸の依代。
彼女は六道骸に付き従っているだけだと思っていたのだが。
彼女は予想以上に彼に、沢田綱吉に心を許しているようだった。 いくら不遇な境遇に立たされていた所を骸に助けられたとはいえ、特殊な体質であったとはいえ、彼女は極普通の一般人。
命を救ってもらった骸に尽くすなら分かるが、出会ってまだ数回しか顔を会わしていない沢田に向ける感情にしては些か疑問に感じる。
だが、彼女の思いは本物であり、彼女にそう思わせるほどのものが沢田にはあるということか。
(いや、それも今更だな。何と言っても恭さんが自ら囮になると言ったぐらいなのだから)
あの孤高の自分の敬愛する上司が他人のためにわざわざ手を貸すことなど天変地異が起こってもありえない。
それがあり得たのは、そこに沢田綱吉がいたから。
この時代に、『大空』が舞い戻って来た限り。
二度と敗北という二文字を味わう訳にはいかない。
それが、彼のボンゴレの名高き守護者ならば。
大空に付き従う守護者なら。
どんなに幼かろうと守護者は守護者なのだから。
コメント:更新しようと思っていたのと違うの書いてしまいました(苦笑)
今週の草壁さんと髑髏の会話に萌えて(笑)
髑髏は何だかんだ言って綱吉の、ボンゴレの守護者だと言う自覚がありますよね。あんなに無理して敵陣に来てるんですし・・・。と思って書いた小説でした。