競争原理から前に進んで

ボランティア活動の原則のようなものは、いろいろあります。新潟市の社会福祉協議会HPから引用します。 

①     自主性(主体性):個人の自由な意思で行う活動

②     福祉性(社会性):お互いに支えあい学びあう活動

③     無償性(非営利性):見返りを求めない活動

④     先駆性(創造性):必要に応じて工夫し、よりよい社会を市民の手で創る活動

読み聞かせ講座において、これをよく説明せず、「良い本はこれこれ・・・」「良いプログラムの作り方はこれこれ・・・」からやってしまったので、数々の問題が起こったと、私は考えています。

現に、ボランティアたちの間に「講座を受講するのは、自分の時間やお金を出すのだから、自分だけがステップアップしてあたりまえ」「講座内容を他の人に知らせる必要はない」「個人参加だから団体向け周知は必要ない」という意識が強いのです。「個人の自由な意志で行う活動」を「自分さえ良ければ個人主義」と解釈したのでしょう。

 「自分さえ良ければという行き過ぎ個人主義」は「支え合う・学び合う」というボランティア精神とは離れていきました。絵本講師たちは謙虚な様子でありながら、実際の意識は競争原理そのものでした。エリート意識からきたことだと私は思っています。
 もちろん、先駆性についての意識もなく、工夫するより習ったことを一生懸命守ることに終始しました。お互いに学び合うのでなく、一方的に偉い先生から習うのだという意識の人がほとんどになりました。
 
 無償性、というのも「無料で読み聞かせしてあげる」という解釈しかされませんでした。見返り(ステップアップ・レベルアップ)を求めて受講するのは当たり前の世の中です。 奉仕の結果として利用者から学び取るという意識はなく、受講したから周囲を見下ろす、というようなボランティアが増えました。

 読み聞かせボランティアは普通のボランティアと違う、というのもよく言われたことでした。配架ボランティアや音声訳ボランティアとかと違って地域を引っ張るリーダー(指導者)になるのが読み聞かせボランティア、という意味で使われ、私は、一種の高揚感を感じながら目配せしあうボランティアたちを何度も見たものでした。
 それはまるで、戦時中に、地域のリーダーが教育紙芝居を学校で「善導」目的でやっていった意識と同じです。戦争というのは、一握りの指導者が勝手に引き起こすのではないのだと、その目配せし合う様子を見ながら、私は実感しました。こういった複雑な心境を、すぐ話し言葉で人に説明できない私は、ぼつぼつとブログに書き記すことになります。
 市民が、それぞれの場所でリーダーになろう(ステップアップしよう・レベルアップしよう)と、争うように指導者の側にまわることで人間の階級を作り、戦争を支えたのではなかったかと想像しています。
 戦争認識の甘さが昨今厳しく言われていますが、ボランティアを権力側に立たせるステップアップ講座を始めたのは、戦争体験をお持ちの方々だったことは皮肉なことでした。

  そして、驚くことに、それと同じ人たちの口から「市民と共に」「子ども目線で」などと発せられてもいたのです。その原因は、図書館の「ストーリーテリング」が活字をそのまま覚える、ということを念頭に指導されてきたからではないか、というのが私の気持ちです。聞いたことや書いてあることを、自分でよく考えずに市民感覚に置き換えることなくそのまま覚え込んで口にする、そういう習慣からきたせいではないか、ということです。異論を唱えている団体に私は入っていますが、図書館自体が変わらない限り、これからも混乱は続くのでしょう。

あれから何年たったのか、今年は、読み聞かせボランティアも他のボランティアと同様に扱われるようになるそうです。ありがたいことです。

  
  

 

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