プログラムを作ることの現実

集団相手の読み聞かせ会をするときに、時間が設定されていれば本を選んで、順番を決めます。そういったプログラムを作る方法について、いろいろな判断がされています。

JPICのホームページに以前載っていましたし、「この本読んで!」にも記事があったような気がします。バックナンバーが手に入らないので、記憶で書きます。

ポイントは、「何番目かに読む人にリードする役割を持たせてください。全体のバランスがあるので、それを大切に。何でもかんでも1人1つづつ読むなどというのは、良くありませんよ」という内容でした。

 新潟市でも、そのように教育されてやっている人が多いし、反対意見を並べておかないと、どうもまっすぐその通り行きそうなので、並べておきます。
 「東京子ども図書館」に提示されればどーっとそっちに流れ、今度は「JPIC」でどーっ、と流れる。何かにすがりたい気持ちは分かりますが、何とか参考にする程度にして欲しい、という願いを込めて。

反対理由

① 私も論文に「責任者を決めてそれを交代して・・」と書きました。交代することがちゃんとできればよいのです。そして、かなり強い思いがないと、いつの間にか単純交代ができなくなります。現場では偉い人がいつの間にか決まってきます。机上の論理が破綻するのは、現場の闇を知らないからです。たいてい、朗読の上手い人が長いものを読むことになり、その人だけが偉くなります。

② 全体のバランスと言っても、一定方向に揃えるのか、いろいろ取り混ぜるのか、よく分からない。誰でも「自分はバカだと思われたくない」ので、いつのまにか高級志向になりやすい。

③ 何も読まずにいる人を見て、子どもはどう思うでしょうか。人の間に上下があることを知るでしょう。それはそれなりに現実を学ぶ手段になりますね。でも、そんなおはなし会は、気持ちがいいでしょうか。

④ 資料中心型ですね。やる人・聞く人という人間の姿よりも、本がいかに引き立つかということが中心になっている。JPICだから仕方が無いでしょうが、現場では仲間同士や聞き手を大切にして尊重できなければ、団体が崩壊するのです。もちろん、わざわざそのために時間をとってくれる利用者は、減っていくでしょう。 学校訪問で本をPRするためにやるおはなし会ならば、子どもは黙って聞くでしょうが、子どもにこれ以上一方方向の価値観を押し付けるのに、反対します。
JPICの指示するやり方を公共のやり方にするのだという考えに、異論を挟みたいと思います。公共や子どもの現場では、人が大切にされるのが、一番だと思うからです。

⑤ 現実味がありません。
本やプログラムに対する感じ方は、人それぞれ違います。統一できません。
長い物を読みたい人は、「読むのにかかる時間」を申告するときも、短めに申告します。どうしても自分が長くやりたいからです。
事前に内容を検討する時間が持てればいいですが、実際は、そんな手間をかけるほど、読み手は時間がありませんし、同じ屋根の下に住んでいるわけではないのです。しかも、検討は水掛け論に終わるばかりです。ある人からみた欠点は別の人からは魅力でもあるのです。複本を手元に取り寄せて順番を決める方法は、限界に来ています。

⑥ 高齢者・初心者に配慮を。
会の発足当時、私も、50位書いた演じやすい紙芝居のリストを配って「とりあえずここから選んでやってもらえないか」と言ったのですが、批判されました。自分としてはプログラムを作る上で組み合わせる必要があり、自分の知っていて安心できるものを並べるならば、できると思いました。私が初めて出会う作品ならば取り寄せる必要がありましたが、紙芝居は複本も少なく、それが出来ないという可能性も大きい訳です。

 まず、そういう理解が出来ない状態からはじめる人々がほとんどだと、思ったほうがいいでしょう。高齢になって自分の考えを変えられない方々も多いのです。当日、気が変わった・とび入りと言って、別の物を持ってくる人も多かったです。そういう方は世の中どこにでもいます。自分の好きな絵本を「講座」として広めようという人たちも、これと同じように「自分の考えの他に、他人が居る」ということが受け入れられないのでしょう。

が、公共ではそれらの人を排除せず「含めて」継続しなくてならないのです。継続の中から気づいてもらうしかない。つまり、初心者や高齢者、固定観念のある経験者が 他者と一緒にプログラムのあるおはなし会から始めるのは、とても難しいのです。

結局は、時間を分担するという考えで進むのが、一番いいのではないでしょうか。
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