松居直の啓蒙活動について

『絵本BOOKEND』を毎年見るようにしています。今年は松居直氏の功績についての記事が特集になっていました。その中で、生田美秋氏の文章が、心に残りました。

もちろん偉大な功績について書いてあります。その結びに、功績の側面も書かれていました。
「言葉の体験」としての絵本体験を重視するあまり、「絵の体験」でもあることに触れなかった。
「物語絵本」に熱心で、至光社の武市八十雄ほどは「感じる絵本」の取り組みが十分ではなかった。
子どもと絵本の関係に傾斜するあまり、幅広い世代に開かれた絵本の可能性への言及が少なかった。
自ら敷いたレールに沿った絵本の刊行を重視し、絵本の可能性を切り開く実験的な絵本の刊行には積極的ではなかった、
と言った意見がある。
とのことです。私もそう思います。

特に新潟は物語を読んで聞かせることに力を入れる先生ばかりで、絵の楽しみについて語る人があまりいなかった。絵本の構成について説明しようともしなかった。まだそのころは絵本の構造という概念がなかったから、仕方ない面もありますが、出版されても無視している講師が多い。
「絵本と子ども」に関係する講演会ばかりで、「こういう本を子どもに与えるのはどうでしょうか」などという論調の講座が西川図書館であったのを覚えています。チラシがネットにアップされていたのを見ました。
その時の館長は福音館書店関係の講師をボランティアに企画させて呼び、ボランティアの達成感を煽りました。ボランティアを手懐けたい様子を感じました。
黒埼図書館では、「絵本言いたい放題」というタイトルで、絵本の表現をあれこれ批判する催しが何度もありました。自分の習った「良い本」の範疇から外れるところを見つけると、言いたい放題言っていたのだと思います。これでは視野が広がるはずはなく、可能性を切り開こうという気持ちも無いように思います。
松居氏は努力をしたのでしょうが、それに連なる人々がトラの皮をかぶってやりたい放題でしたね。

子どもをなんとか支配したいというラプンツェルの魔女のように、視野を狭めようとする動きが、確かに図書館にあった。そういうことを無視すると「あなたは子どもが嫌いなのね」などと凄まれました。何かがおかしい、ピントがずれていると私は感じていました。

こうやって、後からいろいろな評価が出てくるのは大切です。絵本や松居直氏を神格化しないで、前に進みたい。
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