出産と産後うつを振り返って

長女の妊娠・出産とその後の産後うつ、9か月で完治後、次女の妊娠・出産を振り返りました。

2人目出産 ④無痛分娩

2012-03-07 | 出産と産後うつのこと
Nクリニックは、3万円プラスすれば、無痛分娩してくれるところでした。
私は、無痛分娩を希望しました。

普通、無痛分娩を選ぶ人は、陣痛を避けたくて選ぶものだと思いますが、
私の場合は、痛さを味わいたくない、というよりも、とにかく、
少しでも体力を消耗したくない、産後の回復を早めたい、
その方法があるなら、どんな手段でも取っておきたい、という気持ちからでした。

むしろ、陣痛の痛みについては、1人目の出産のところでも書きましたが、
「なんだ、こんなものだったのか」と思うぐらい、私にとっては、余裕だったのです。
もちろん痛いけれど、取り乱したり叫んだりするほどのものでは、決してないというのが実感でした。
陣痛の痛さよりも、3日間断続的に痛みに耐え続ける疲労、のほうが苦痛であり、
さらに、その後の「いきんでもいきんでも全く出ない」状態のほうが、もっともっと苦痛でした。

だから、もし、なんらかの事情で麻酔が間に合わなくても、
まあそれならそれでもいいや、というぐらいの「希望度合い」だったのですが、
今回は、実際のところ、ほんとうに間に合わないかも、と思うようなお産でした。


おしるしが来て、ドキドキの毎日を過ごすこと8日目、
夜中に、前駆陣痛?らしきものがやってきました。
20分から30分に1回くらいの間隔。
早めに入院させてほしいとは言ってあるものの、さすがにまだ早いなあと思い、
寝相の悪い上の娘の足蹴りを食らいながら、ベッドでごろごろ過ごしていました。

翌朝、おおよそ20分に1回間隔。
幸い日曜日で、夫が家におり、朝食の準備をしてくれ、それを食べました。
「まだ大丈夫なの?」「んー、とりあえず、実家に移動しとこうかな。」
そんなやり取りの後、実家の母に車で迎えに来てもらい、
夫と1歳半の娘を家に残して、車に乗り込んで間もなく、
なんだか陣痛が強まってきたような感じがしました。
「とりあえず、病院に電話入れといたら?」と勧められて、ケイタイから電話。


「まだ20分に1回間隔ぐらいで、早すぎるかもしれませんが、行ってもいいですか?」
とたずねると、
「はい。日曜ですし、国道も混むかもしれませんし、早め早めに行動してください。」
と、看護師さんの、きっぱりとした、とても心強い返事。

こだわって産院を変えただけあって、今回のお産では、
1人目を産んだT病院とは「180度違う!」と思うこと、驚くことが、何かと多かったのですが、
その最初が、この電話での対応でした。
T病院のときは、“できればまだ来ないで!”感が、ありありだったからです。


「じゃあもう、実家じゃなくて、直接、病院へ向かおう」と病院へ。
車の中で、時間を計っていると、だんだん15分間隔→10分間隔→8分間隔に。
「着いたらすぐ産まれたりなんかしてね」と笑いながら、病院到着。

診察してもらうと、「もうだいぶ下がってる。6センチ開いてる。」
と言われて、え、もうそんなに??と、びっくり。
後に、看護師さんに   
「あなた、そうとう我慢強いのでしょ。痛い時は、痛いって言っていいのよ。」
と、呆れたように言われました。
やっぱり、陣痛については、私は他人より少々鈍感なのかもしれません。

それよりなにより、この時にされた、何かの処置の強烈に痛かったこと。
ぐいぐい、ぎりぎり、と力任せに何かされ、思わずうめき声がもれました。
これこそ、麻酔の後で、やってほしかった! 
「早く産まれるおまじないをしてくれたのよ。」と子どもだましのように聞かされましたが、
未だに、あれが何だったのかは、よく分かりません。

その強烈な「おまじない」のせいでしょうか、
診察の直後に、ばしゃーっと破水。直行したLDRの入口で、また、だーっと破水。
3人の看護師さんが、ふうふう汗をかきながら、ばたばた走り回って、お産の準備をしてくれました。

「大変な時に悪いけど、これ読んで、サインして。」
と、分娩台の上で、無痛分娩の説明と承諾書を渡され、
ろくすっぽ、目も通さないままに、サインと拇印で捺印。
陣痛が来ると、冷静に息を吐いて痛みを逃しながら、先生が来るのを待ちました。

その後、ほどなく、背中から麻酔を入れてくれました。
麻酔の管を入れる痛みよりも、足先にピリピリと電気の走るような痛みが来て
それが結構な痛みだったのと、不安に感じたのとで怖かったのですが、
やがて陣痛を感じなくなり、寝ているだけになりました。

あっという間に、7センチ、8センチ、と子宮口が開いていって、
「いきんで。」というところまで来ました。
が、脚にもお尻にも全然力が入らないので、お腹から上だけでいきんでいる感じ。
それなのに、2度ほどいきんだだけで、もう「頭が出てきましたよ~」と看護師さんの声。
えっ、もう?もう?頭??と思って目をぱちくりさせているうちに、
「はい、おめでとうございます~」子どもが取り出されたのが、見えました。

麻酔を入れてもらってから、30分も経ったか経っていないか、ぐらいでした。

私の無痛分娩は、陣痛よりも処置の痛みをなくすために、あったようなものでした。

今回もやはり、お腹の子がちゃんとした方向を向いていなかったらしく、
先生が、逆方向なのを、苦労して手で回して出してくれた様子でした。
胎盤を出すのにも、先生がずいぶん汗をかき、全身に力を込めて奮闘している様子で、
・・・1人目の時は、なんの苦もなく、ちょっといきんだらつるっと出たのでしたが・・・
これ、もし麻酔されてなかったら、どんなに痛かっただろう、
このためだけでも、無痛分娩で良かったわ、と思ったぐらいでした。
(※後日、保険申請のための書類を見ると「癒着胎盤用手剥離」と書かれてありました。
普通は、あまりこのような癒着は起こらないか、もし必要があっても麻酔をして行うものみたいです。)

傷を縫うのも、1人目の時は、局所麻酔で痛みこそないものの、
ぐいぐい引っ張られて縫われる感覚が逐一分かって、なんとも気持ち悪かったのですが、
今回は、なんの痛さも気持ち悪さもなく、すべてが終わってしまっていて、
罪悪感を覚えるほど、あっけない楽なお産だった、というのが実感でした。


私が、私の実家に向かっていると思って、一安心していた夫は、
私の母から「病院へ直行した、もう産まれそう」と、連絡を受けて、あわてふためき、
上の娘とオムツだけを夫方の実家へ放り込んで、病院へ駆けつけ、
出産10分前にギリギリ到着、なんとか間に合った、という状況でした。
もともと立会いは希望していなかったので、どちらにしても出産時は私だけだったのですが、
夫が着いた後に産まれてくれたことは、良かったと思いました。

分娩所要時間1時間半。
上の娘のときに、3日3晩かかって産んだことを思うと、ウソのようでした。

それでも、不思議となぜか、今回のほうが「産んだ実感と感動」を覚えました。
前回は、それどころではなく、くたびれ切って、目を開ける余裕すらなかったのです。
もう、お産なんか、子どもなんか、どうだっていい、そんな感じでした。
今回は、まじまじと子どもを見つめて腕に抱き、無意識に涙が流れて、自分でも意外でした。