出産と産後うつを振り返って

長女の妊娠・出産とその後の産後うつ、9か月で完治後、次女の妊娠・出産を振り返りました。

2人目出産 ⑦授乳(入院中)

2012-03-27 | 出産と産後うつのこと
授乳は、お産の翌日の午後から開始でした。
これは、私だけではなく、他の人も同じでした。

規則授乳というのか規律授乳というのか、3時間おきに授乳の時間が決められていて、
決まった時間に、授乳室へ行って授乳する、という方式です。
母親がずっと側にいて、赤ちゃんが欲しがったら、時間に関わらずいつでもすぐおっぱいをあげる、
というのとは、すべてがすべて、正反対。
ひとむかし前は、みんなこういうやり方だったんだろうな、という感じでした。

私は、バースプランに「混合」で育てることを希望と書いていたため、
その意思を、看護師さんに改めて確認されました。
もちろん、母乳がたっぷり出るのなら、母乳主体としたい、
ただ、またいつ薬を飲むはめになるかもしれないので、
いざという時に、哺乳瓶やミルクを受け付けない、ということのないようにしておきたい、
また、3日間、何も与えないまま放っておく、ということをしたくない、
それで「混合希望」にした、と伝えました。

T病院の時は、徹底して母乳育児をめざすため、
哺乳瓶は一切使わないこと、とにかくおっぱいをくわえさせることを指導されました。
「赤ちゃんは、3日間分のお弁当と水筒を持って生まれてくる」と教えられ、
母乳が全く出なくても、生後3日間、本当になにひとつ与えられませんでした。
私の娘は、3日間、ひたすら声がかれるまで泣き続け、
2800あった体重が2400を切る寸前までいって、3日目の夕方、やっとはじめて糖水を与えられました。
いくら、何もあげなくても死なないとはいっても、これは少々恐ろしい気がしました。
結局、退院間際になっても母乳が出ず、ミルク10~20ccを足すことになったのですが、
哺乳瓶は禁止なので、小さなコップから口に流し込んで飲ませるように言われ、
その様子を見た私の母は、驚愕していました。

今回は、初めから、母乳が足りなかったら、ミルクを足すということが決まっていました。
特別に希望するまでもなく、みんなそのように指導されていて、
1人ずつ、小さなミルクの缶と哺乳瓶2つ、その洗浄液などを持たされていました。
調乳のしかたも、病院と提携しているミルク会社の人が、教えてくれました。
1日目は20cc、2日目は30cc・・・という具合に、与える量も定められていて、
母乳が出なくても、飲む量が不足する、という事態にはなりませんでした。

いつもお腹が満ち足りているので、子どもは、だいたいはよく眠っていて、
不思議なほど、本当にきっちり3時間ごとに、泣いてきました。
1時の次は4時、4時の次は7時、という具合で、
それ以前に激しく泣いてきたら、看護師さんが早めに授乳に来るよう教えてくれたりするのですが、
大きく時間が変わることがありませんでした。

上の娘は、いつでも「飢えて」いたので、獰猛な野生動物のようにおっぱいをせわしなく探し、
必死そのものでかぶりついて来ましたが、
今度の子は、ほとんど空腹を味わっていないためか、ふにょふにょふにょ、とおっぱいを遊びなめて、
やおら、もぐもぐ、と飲みだすような、おっとり授乳でした。

授乳室には、常に看護師さんが一人いてくれ、丁寧に授乳指導してくれました。
人気のあったT病院とは違って、今回はお産後の人が、私を含め3~4人しかおらず、
むしろ、こちらのほうが一人一人に手厚く、教えてくれました。
カチコチに張った胸をもみほぐしてくれたり(とても痛かった!)、
小さな保冷剤を持たせてくれたり、乳頭を保護するビニールを貸し出してくれたり、
おせっかいなほど親切でした。

入院中、母乳はほとんど出ず、搾乳しても15ccほどしか取れませんでした。
授乳前と授乳後の赤ちゃんの体重記録を見ると、他のお母さん2~3名の方も、同じ様子でした。
産後すぐでも、経産婦だったら少しは出やすいのかと思って期待していましたが、
そうでもないようで、少々がっかりでした。
それでもみな、
「初めは2~3分ずつ2回ほどくわえさせて、赤ちゃんが疲れるから15~20分以内には終わるように」
と教えられていたので、それ以上どうこうすることもなく、15分ほどでさっさと授乳を終え、
さっさと部屋に引き上げて、足らず分のミルクをあげていました。


お産翌日の夜22時、授乳室で授乳していると、先生がたまたま入って来られ、
「ゆうべは眠れた?」とたずねてくれました。
正直に「3時間半ほどしか眠れませんでした。」と答えると、
看護師さんに「おーい、薬あげて。」と、睡眠薬を出すよう指示してくれました。
その日も、夜間は、子どもの預かりをお願いして、部屋に戻るつもりでいたものの、
3時間ごとの授乳には、必ず来なければいけないと思いこんでいたので、
薬を受け取りながら「次は1時に来るのですよね。」と確認すると、看護師さんは妙な顔をして、
「1時に授乳したいんだったら、薬は飲めませんよ?明日朝7時までゆっくり寝てください。」
と言われました。
えっ、授乳が始まったのに、今日も夜中は看護師さんがミルクをあげてくれるのかと、
ほっとしつつも驚いていると、入院4、5日目の隣のお母さんにまで、
「今日はどうする?部屋に連れてく?こっちでミルクあげとく?」などと言っています。
「どうしようかな・・・じゃあ、今日もお願いできますか。」と、その方は答えられ、
赤ちゃんを預けて部屋に戻ってしまいました。
T病院では、考えられないことで、驚きでした。

結局、私も、退院の2日前まで夜中は看護師さんに甘え、自分はぐっすり眠り、退院の前日になって、
いくらなんでも最後の夜ぐらいは、自分の部屋で授乳しないとと、部屋に連れて帰ったのですが、
逆に看護師さんに、「明日退院ですよね、大丈夫ですか?」と心配そうにたずねられました。
これから家で大変になるから、今のうちに休んでおかなければ、という意味なのでしょう。
特に、私だけに気にかけてくれたふうでもありませんでした。


こうして、意図してのこととはいえ、
T病院のときとは、本当におもしろいほど、対照的な授乳を体験し、
おみやげのミルクや、ミルクの割引券などをもらって、退院してきました。

授乳の考え方にも、流行り廃りもあるようですが、病院によって、本当にいろいろあるものです。
そこで教えられた授乳方法が、初めてならなおさら、退院後も大きく影響するのではないかと思います。
この方法は古いとか、このほうがいいとかよくないとか、他の人がどんなに言っていても、
人それぞれに希望もあり、合う合わないが、あると思います。
もし、これから初めてお産で入院される方がおられたら、自分の経験と後悔から、
授乳がどういう方針の産院なのかだけは、予めしっかり確かめておくほうがよいことをお伝えしたいです。