隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

『遠い国から来た男』

2007年07月25日 20時53分21秒 | テレビにプチコメント
■『遠い国から来た男』TBS(2007年7月23日 9:00p.m.より)

●脚本:山田太一  音楽:小室等  演出:高橋一郎
●出演:仲代達矢、栗原小巻、杉浦直樹、高野志穂、小室等



★20年あれば…
 実は帰宅が遅くなり、後半の部分しか見ていません。だから、ドラマ全体を書くことはできない。
 厳密に言えば、津山と典子の再会のシーンと、岡野夫婦が津山の乗っている飛行機を見ながら…、のラストだけと言ってもいいくらいの程度。
 初老の男女(元・婚約者)の間に流れる遠い日への思いと、それを見守る夫のコミカルとも言えるかっこ悪さと、ひょっとしたら「優しさ」…。優雅なステキな男女の語らいと、長年連れ添った夫婦の当たり前のような惰性(悪い意味だけではないけれど)がストーリーをヘンに盛り上げすぎず、でも程度にせつなさも忘れさせず、という感じだったかな。
 元婚約者の津山についていく、という典子の宣言は、70代前後の女性の心情など想像するべくもない私に、不思議な感慨をもたらした。
 二十歳の頃、自分には不似合いの夢を抱いて、「もうこんな年だしなあ」と心の中でつぶやいた私はそれから数年して、あのとき、なんで「もう遅い!」なんて思ってしまったんだろうと、悔いたことがあった。それを思えば、ひょっとして60,70になって、「もう…」とあきらめても、それから生きて何年か後に、「なんであのとき?」と思うかもしれない、なんてことがありうるのかもしれない。そんなことを感じたのです。
 典子の宣言に慌てふためいて、戸惑いつつ「そんなこと言っても津山さんだって困るでしょ」といさめる夫。その争いを見ながら、心を動かされながらも、「ありがとう、二人とも言い争ってくれて。名演技でしたよ」と、事をおさめる津山。
 結局、男は大人で、女はいまだ夢見る乙女だったということか。もう冒険はできない、やり直しはできない、と津山は思ったのか。どうなんだろう。
 飛び立つ飛行機を車の中で見送りながら、「まだ20年あるのよ、20年あればなんだってできる」と、涙を流しながら強く言う典子。それは強い宣言だったのか、あきらめを意識しつつ、自分を奮い立たせる言葉だったのか。
 「もう何年も、こんなふうに心が震えることはなかったわ」と言う妻と、そしてこの夫は、どんなふうにこれからの20年を暮らしていくのだろう。
 それまでの少々疲れた惰性の日々が少しは変わっていくのか、それとも変わらずに、それぞれの中でこの短い小さな「事件」を秘めながら、「長年連れ添った夫婦」にふさわしい?人生を歩いていくのか。

★舞台とテレビ?
 本来、舞台役者である仲代達矢と栗原小巻の画面から少しはみだし気味の華麗な演技と、ステージに立ちながらも(『変奏曲』の彼は秀逸でした)テレビドラマで活躍する杉浦直樹のブラウン管にきれいにおさまった演技が、とてもおもしろかったな。
 こういうちょっと情けないけれど人生を感じさせる男を演じると、杉浦直樹は光るんだよなあ。
 …と、蛇足なあ感想でした(笑)。


 同じ時間帯で、日テレではドキュメンタリー『テージセー』が放送されていました。
 こちらもじっくりとは見られなかったので感想は書けないけれど、長期の取材を敢行した力作のようです。
 続いて、7月30日、8月6日、13日(夜10時より)と4週にわたる放映。来週はぜひ、ちゃんと見てみたい。



 



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