会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

株価つり上げの舞台“ハコ企業”で何が? 医療関連会社に群がった男たちの“悪行”とは(FNNより)

株価つり上げの舞台“ハコ企業”で何が? 医療関連会社に群がった男たちの“悪行”とは

Nuts偽計事件の刑事裁判の初公判が開かれたという記事。登場人物は、元社長、大株主、ブローカーらです。

「Nutsと言う会社の名前を聞いたことがない方も多いだろうが市場関係者の間では“ハコ企業”として名前が知られていた。」

「...2013年にJASDAQ市場に上場し、2017年にはこれまでの事業とは全く関係の無い医療関連事業に突如として進出した。」

「起訴状などによると、医療関連会社Nutsの元社長・M被告(52)は、2019年6月から12月にかけて、筆頭株主だったH被告(56)ら4人と株価をつり上げる目的で、医療施設の会員権販売の売り上げ高が、実際は2000万円だったところを5億6300万円とする、嘘のIR情報を合計7回にわたって公表した、金融商品取引法違反(偽計)の罪に問われている。」

「外部調査委員会の報告書などによると、Nutsは2019年2月8日に医療施設の会員権の入会金などで、売上高が前年比の10倍となる15億7000万円に伸びるとの業績予想を公表したことで、それまでは70円台で推移していた株価が3月14日には234円の高値をつけた。しかし、実際は大半の会員権を販売した実態はなかったと認定された。

このタイミングでH被告は、保有していた株を売り抜くことで、少なくとも1億円以上を儲けていたとみられている。」

売上水増しに関する打ち合わせの場面について。

「検察官の冒頭陳述で明らかになったのは、この偽計事件に被告4人がどのように関与していたかだ。2021年4月、M被告はXX被告・XX被告と都内のホテルで打ち合わせをしていた。

会員制医療施設の販売について問われたM被告が4口(入会金2000万円分)しか入会者がいない現状を伝えると、XX被告(ブローカー)からそのようなわずかな口数の入会ではNutsの株価が上昇しないと言う懸念を伝えられ、少なくとも20口の入会者がいて欲しいと伝えられた。

そこでM被告は入会金の支払いを偽装するため、H被告が調達した資金をNuts名義の預金口座に振り込んでいると伝えると、XX被告に虚偽の入会者と売上高を公表するよう言われ、M被告はH被告の了承を得ることにした。

H被告に報告すると、××被告・××被告らの意向通りにするよう話され、虚偽の売上高を公表する了承を貰った。」

こんなあからさまな不正(売上水増し)をやっていたとは...。一概に粉飾といっても、こんな安っぽいテレビドラマの一場面みたいなのはまれでしょう。ただ、実際の入金があったとすれば、カネに色がついているわけではないので、監査人もだまされてしまうおそれはあるでしょう。入金だけで売上の実現を判断するのは危険ということになります。

この会社を監査していた監査法人がなぜか突如解散するという事件も起きています。監査人と不正との関わりについては、特に報じられてはいないようです。
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