会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

農林中金、最終赤字1兆5千億円規模へ拡大 米国債など10兆円売却(朝日より)

農林中金、最終赤字1兆5千億円規模へ拡大 米国債など10兆円売却

農林中央金庫の2025年3月期決算の最終赤字が、1兆5千億円に拡大するという記事。

5月の時点では、5000億円の赤字見込みとされていました(→当サイトの関連記事)。

「欧米の金利上昇によって価格が下落した米国債や欧州債を10兆円規模で売却し、損失を集中的に処理する考えだ。

農林中金の奥和登理事長は5月に開いた24年3月期の決算発表で、25年3月期の純損失が5千億円以上になる見通しを公表した。しかし、金融動向を再検討した結果、米国の金利上昇は今後も続く可能性があるとみて、運用資産を抜本的に見直す。損失を集中的に処理することで、26年3月期は黒字化を見込むという。」

抜本的に見直すといっても、記事によれば、「金利が高い米国債などに振り向ける」とのことなので、利回りの高い債券に入れ替えるだけのようです。

それにしても、「満期保有債券」のはずなのに、満期になる前にこんなに大々的に(といっても満期保有債券全部ではない)売却していいものなのでしょうか。監査法人の解説を見ると、理屈がつけば、認められる(売却しなかった債券は満期保有の区分のままでよい)ようなのですが...。

また、固定資産の減損と違って、決算確定前に、売却の意思決定(売却損が発生する場合)が行われても、修正後発事象にならないというのもおもしろい。

農林中金が米国債など10兆円売却へ、損失処理で25年3月期は1・5兆円まで赤字拡大の可能性も(読売)

(補足)

ブルームバーグや日経によると、今までとは違う金融商品にも投資するそうです。

農林中金、株やCLO含めた幅広い分野への投資検討-外債処理後(ブルームバーグ)

「農林中央金庫は、保有する外国債券10兆円相当を今期中に売却した後、国内外の株式やプロジェクトファイナンスなど幅広い資産への投資を検討する。外債に偏ったポートフォリオを再構成する。」

「リスク・バランスを踏まえながら、国内外の債券や株式、プロファイなどへの新規投資を検討する。具体的な資産や配分については個別に検討していく。

また、企業への融資を束ねて証券化したローン担保証券(CLO)についても、これまでと同様に選択肢の一つとしてリスク・リターンを勘案しながら適切に投資していくという。農林中金は3月末時点で7兆4000億円のCLOを保有。世界でも有数のCLOの買い手としても知られる。」

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