かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2021年10月歌会の歌

2021-10-17 15:17:48 | 仲間の歌
新型コロナウイルス蔓延のため、しばらく歌会を休まざるをえませんでした。
久しぶりの歌会です。
完全にウイルスが収束したわけではないので、参加を自粛された方も居て、少し寂しいですが、久しぶりの歌会を楽しみました。

1 救急車の近づく音を音として聴くことは無し独りの夜は       土蔵 寛二

2 母のベッド大型ゴミとし解体す夏の掃除のさびしきひとつ      白岩 常子

3  たび重なる虐待受けて児(こ)は逝けり恨むことすら分からぬままに  上山ゆみ子

4  降りやみて日新の杜みずみずしアナベルの毱(まり)は若きさみどり  笹川 淑子

5  トリマーにヒバの生垣刈りゆけば細き葉びっしり首に張り付く    吉田この実

6  雪虫に背を押されて今年又畑の仕事に勤しみおりぬ         神林 正惠

7  夏の色褪せし庭の片隅にひと際赤くワレモコウ揺れる        吹田美津子

8  週一度亡母(はは)に届ける絵葉書のナナカマドの実に秋の陽は射す  杉本稚勢子

9  ドライブの約束の朝訪ねれば「眠れなかった」と父は待ちおり    松平多美子

10  ことこととポトフ煮ており頂きし秋の野菜をたっぷり入れて     柊 明日香

11  遠いとおい青春の日に出会いたる君の面影秋草の花         西勝 洋一

12  人も樹も点となりたる空中に哀しきニルスの旅を思へり       河原由美子

13  三十度越えをなじめぬ吾の身を拒否するごとく汗ばみており     櫻井 若子

14  今日もまた娘らが語りて行けり故国の言葉生き生きなりき      谷口 三郎

15  病む夫に子がもちきたる小三治の全集はいま位牌のとなり      鎌田 章子

16  古里の友からの南瓜煮る夕べ旭岳は明日初冠雪と          上野 節子

17  人間にそれぞれ人相あるやうに猫に猫相ありて愉しも        安藤のどか

18  踏まれても踏まれてもなほ伸びゆける根は舗装路を持ち上げてなほ  清水紀久子
コメント
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