かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

前号合評 2014年3月号2

2014-04-27 22:01:11 | 仲間の歌
        抄出 上野 節子

愛の言葉を発するがごときの振る舞ひで職を辞すこと妻に告げたり     桑原憂太郎

生き方も要領わるく恥多く誇るもの無くいつか古稀過ぎ          柳澤 正保

功績の一つぐらいは言うべきと思いつつ通夜の挨拶を聞く         西勝 洋一

若人等我を追いこし掛けてゆく汗の匂を風に残して            田中 恵子

可愛いで済まされる年はとうに過ぎ加齢への挑戦始めんとす        柊 明日香
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2014年4月歌会の歌

2014-04-27 21:58:27 | 仲間の歌
適当にやり過ごすことができなくて「気楽にいこう」が重荷なる日々  智理 北杜

うす紅の五弁凛々しく窓の辺の「砂漠の薔薇」に春の陽踊る      神林 正惠

老木の桜みごとに咲かむかな芽ぐみの紅(あか)のわづか明るむ     安藤のどか

東京の友より来たる花便り青きインクの文字瑞(みづ)みづし      石山 宗晏

平原の雪のなだりに春日さし白く輝やく曲線美あり          山田恵美子

切り落とししあれもこれもが反撃の狼煙あげるか近ごろ不調      清水紀久子

童話なる「泣いた赤鬼」よみ返し「犠牲」の言葉あるを確かむ     井上 敬子

夕凪にたたずむ風車清々し苫前埠頭の空をなごます          白岩 常子

添え書きと自祝の花も描かれて定年退職の知らせ来ており       西勝 洋一

ケイタイのプリント手にし弘前の万朶の桜今によみがえる       清水 佳子

鳥類図鑑書棚にもどし ああそうだ夕餉のメニューは串カツにする   柊 明日香

年老いて昔を偲ぶシャンソンの主人公となり皆しんと聴く       丹呉ますみ

イラクより帰還兵士の銃乱射寄る辺なければさくらも散らす      鎌田 章子

父逝きて二年が経ちぬ春の陽に真白く映ゆる旭岳仰ぐ         上野 節子
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2014年3月号 五首合評

2014-04-08 13:47:44 | 仲間の歌
                         抄出 安藤 のどか

石ころが雨に打たれて泣いている角が取れてもまあるくならぬと     卯城えみ子

人間の命ばかりが尊くて「いただきます」とステーキ食らふ       伊藤 白厳

雪道を危うき歩みするごとく生きゆく日々に生るる歌なり        西勝 洋一

生まれたての妹を抱くちびさんはもうお姉ちゃんの顔をしている     北原さつき

昏き手ののびてきさうな不安湧きシャッター街を足早に抜ける      清水紀久子
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2014年3月歌会の歌

2014-04-08 13:45:29 | 仲間の歌
障害にくじけず挑む競技者のパラリンピックに成果出しませ      神林 正惠

なにゆゑに「アンネの日記」を破りしや歴史の真実天が覧(み)てをり   井上 敬子

「ありがとう」「愛している」を伝へてと震災かたる語り部の少女   清水紀久子

降り積る雪の重さに梁の耐へる音きく春の宵あり           安藤のどか

引き際の美しくない人たちが叩かれている雑誌を買いぬ        西勝 洋一

幾百の顔貌(かおかたち)見る チカホコは我の孤独を確かめる場所   智理 北杜

真冬こそもっと北へと憧れぬ宗谷岬にひとり立ちたし         丹呉ますみ

フェルメール「耳飾りの少女」が一筆箋しみじみ見つめ文したためる  山田恵美子

戦争は画学生たちの夢やぶり妹の絵は未完になりぬ          清水 佳子

駆け込んで買ふべきものつて何かしら冷蔵庫を開けて発泡酒を出す   桑原憂太郎

ガタガタの雪融け道を揺れながらゴミ収集車が通ってゆきぬ      上野 節子

ソチ五輪開会式の色彩に酔ひゐしがたちまち甦る「石の花」はも    石山 宗晏

嫁入りに相応ふ支度もままならぬ青春なりきと母は嘆かふ       鎌田 章子

消費税あがらぬうちにかいきたるアタック10箱つつましくつむ     柊 明日香

猿払の市に干されし棒タラの風に刺されつ甘み待ちいる        白岩 常子
 
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