記念歌会詠草
姉の逝き友また逝きて哀しみを悼みてくるる庭の白百合 神林 正惠
校庭にテニスをしている若人の球追う姿弾みてまぶし 久保田一恵
夏山に鳴く声きそう小鳥たち暑さを忘れしばし聞き惚る 柊 明日香
わが作る飲食をなべて美味しと言ふ老母の食欲よ衰えずあれ 石山 宗晏
ひつそりと神すむ土地の池に咲く雨の睡蓮うれひを秘める 安藤のどか
間引かれた蛍光灯に照らされて電気予報を確認する夕 桑原憂太郎
子を背に夫と歩ける夢を見し覚めて独りの盆の暁 矢島 弘美
斗酒辞さぬ大酒のみが一杯のワインア剰せり 酔はずや酔ふや 鎌田 章子
十年を共に詠いし君逝けり歌集「やまびこ」を柩に入れぬ 薮中 明枝
今日はけふ明日はあすなり生きゆかむまつかな夕日が背押しくるる 井上 敬子
金だ銀だと騒がしき日々過ぎゆきてさ夜中を聞くキリギリスの声 西勝 洋一
孤児となり従姉妹を支えし父母(ちちはは)のありし川西は菜の花さけり 林 孝子
故郷はもう北海道のはずなのにいまだ踊れぬ北海盆歌 北原さつき
波音にしばし揺られて海鵜飛ぶこの海底の三船(さんせん)を偲ぶ 智理 北杜
放蕩息子よろしく突如居なくなる如雨露の中に住みつく蛙 松倉美知子
「神経を使いすぎても一は一」夫の川柳わたしがモデル 卯城えみこ
いちめんの向日葵明るし明日には花咲くままに鋤き込まるるも 清水喜久子
触れられて遠くへ行きたき草の実は痛きほど我が掌を打つ 早川 淳子
水草にひそむエンゼルフィッシュをうかがひながら泳ぐ相棒 香月千代子
互選にて、
一位
触れられて遠くへ行きたき草の実は痛きほど我が掌を打つ 早川 淳子
二位
子を背に夫と歩ける夢を見し覚めて独りの盆の暁 矢島 弘美
三位
放蕩息子よろしく突如居なくなる如雨露の中に住みつく蛙 松倉美知子
が選ばれました。
姉の逝き友また逝きて哀しみを悼みてくるる庭の白百合 神林 正惠
校庭にテニスをしている若人の球追う姿弾みてまぶし 久保田一恵
夏山に鳴く声きそう小鳥たち暑さを忘れしばし聞き惚る 柊 明日香
わが作る飲食をなべて美味しと言ふ老母の食欲よ衰えずあれ 石山 宗晏
ひつそりと神すむ土地の池に咲く雨の睡蓮うれひを秘める 安藤のどか
間引かれた蛍光灯に照らされて電気予報を確認する夕 桑原憂太郎
子を背に夫と歩ける夢を見し覚めて独りの盆の暁 矢島 弘美
斗酒辞さぬ大酒のみが一杯のワインア剰せり 酔はずや酔ふや 鎌田 章子
十年を共に詠いし君逝けり歌集「やまびこ」を柩に入れぬ 薮中 明枝
今日はけふ明日はあすなり生きゆかむまつかな夕日が背押しくるる 井上 敬子
金だ銀だと騒がしき日々過ぎゆきてさ夜中を聞くキリギリスの声 西勝 洋一
孤児となり従姉妹を支えし父母(ちちはは)のありし川西は菜の花さけり 林 孝子
故郷はもう北海道のはずなのにいまだ踊れぬ北海盆歌 北原さつき
波音にしばし揺られて海鵜飛ぶこの海底の三船(さんせん)を偲ぶ 智理 北杜
放蕩息子よろしく突如居なくなる如雨露の中に住みつく蛙 松倉美知子
「神経を使いすぎても一は一」夫の川柳わたしがモデル 卯城えみこ
いちめんの向日葵明るし明日には花咲くままに鋤き込まるるも 清水喜久子
触れられて遠くへ行きたき草の実は痛きほど我が掌を打つ 早川 淳子
水草にひそむエンゼルフィッシュをうかがひながら泳ぐ相棒 香月千代子
互選にて、
一位
触れられて遠くへ行きたき草の実は痛きほど我が掌を打つ 早川 淳子
二位
子を背に夫と歩ける夢を見し覚めて独りの盆の暁 矢島 弘美
三位
放蕩息子よろしく突如居なくなる如雨露の中に住みつく蛙 松倉美知子
が選ばれました。