偕老を誓いし夫ははやも亡く独りの夜長を歌誌ひもどきぬ 神林正惠
「おだつな」と声をかけたき大臣(おとど)あり わが一言はひとを刺さむや 鎌田章子
日をかけて茄子花さきていじらしき無駄花なしと子茄子輝よう 久保田一恵
音楽堂の背後に今日も見える山濃き藍青に動くものなし 石山宗晏
何気なく手にとる本のあたらしき匂ひは遠き日の恋に似て 松倉美知子
街中に若き女のブロンズ像鳥糞(ふん)に汚れて恥づるがに立つ 井上敬子
秋空に一等星は一つだけ一等賞に程遠い俺 智理北杜
垂れ籠める雲に深山のりんどうは雨待つ姿勢か花びら閉ぢる 清水喜久子
会えば損したような思いになる人と居れば茶房の青葉が翳る 西勝洋一
薄目あけわたしを見てる三毛猫を愛しと思う怖しと思う 柊明日香
耐えきれず溢れ落ちくる天の水暗愁の雨は土地を潤す 安藤のどか
ごちそうをねらへる猫のはきしやし藤田嗣治の『ディナーパーティ』 香月千代子
吾は見たり老いたる羊がその罪を贖うために引かれてゆくのを 吉川さとる
「おだつな」と声をかけたき大臣(おとど)あり わが一言はひとを刺さむや 鎌田章子
日をかけて茄子花さきていじらしき無駄花なしと子茄子輝よう 久保田一恵
音楽堂の背後に今日も見える山濃き藍青に動くものなし 石山宗晏
何気なく手にとる本のあたらしき匂ひは遠き日の恋に似て 松倉美知子
街中に若き女のブロンズ像鳥糞(ふん)に汚れて恥づるがに立つ 井上敬子
秋空に一等星は一つだけ一等賞に程遠い俺 智理北杜
垂れ籠める雲に深山のりんどうは雨待つ姿勢か花びら閉ぢる 清水喜久子
会えば損したような思いになる人と居れば茶房の青葉が翳る 西勝洋一
薄目あけわたしを見てる三毛猫を愛しと思う怖しと思う 柊明日香
耐えきれず溢れ落ちくる天の水暗愁の雨は土地を潤す 安藤のどか
ごちそうをねらへる猫のはきしやし藤田嗣治の『ディナーパーティ』 香月千代子
吾は見たり老いたる羊がその罪を贖うために引かれてゆくのを 吉川さとる