かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

五首合評 9月号2

2012-10-20 20:38:53 | 仲間の歌
   抄出 安藤のどか

裏切られし痛みのごとく軒先のやよいの氷柱今だ冷たく       杉本  光

風冷ゆる皐月の昼をチューリップ花閉ぢて揺るる誰を待つらむか   正木 恵美

陽を浴みて散りゆく花びら散りてなほ色鮮らけし老樹の桜      森  稚枝

告げたきこと問ひたきことの余れるをすでに亡きかもさくら咲き終ふ 橘  幹子

干し草の匂い僅かにただよわせ帰り来し夜の秘事思いおり      反怖 陽子
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十月歌会の歌

2012-10-20 20:18:14 | 仲間の歌
生憎の雨に濡れつつ貴船菊退院の吾を迎えくれたり          神林正惠

窓一面おほふばかりに紅葉して山桜深く眠りにつかむ         石山宗晏

盆迎え日頃の無沙汰に懺悔もす声ひからびて香華に笑わる       久保田一恵

絶望の白雲原野に分け入りて言の葉を狩るマタギとなれり       智理北杜

薄れゆく光の中を一対の蜻蛉きたりてツユクサに寄る         西勝洋一

弔問の人に紛れて馬追が窓辺に唄う澄んだ挽歌を           北原さつき

いにしえの君を偲びてふみ書かむ旅に拾いしその多羅葉に       柊明日香

ふりむけば暗さのなかに灯が点る行くてはま闇の雪ふりしきる     安藤のどか

たはやすく捕らへられたる十月の蜻蛉は明日の我かもしれぬ      清水喜久子

襲はれし身は痛めどもひとの手は借りざる矜持 ホームレス逝く    鎌田章子

しづかなる秋のひと夜はなにとなく浮かぶ想念に身をまかすべし    香月千代子

篤農家の逝きて畑に大根の葉は青々と収穫を待つ           松倉美知子

アルパカを撫でつつそれらの性癖(くせ)などを熱く語れる若き頑張れ 井上敬子
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