時代小説というよりは、ファンタジー時代噺といったところか。
東北小藩の山村が一夜にして壊滅する。
怪物はなぜ現れたのか?北の民はどう立ち向かうのか?
時は元禄、東北の山間の仁谷村が一夜にして壊滅状態となる。
隣合うニ藩の関ヶ原の合戦以来の因縁、奇異な風土病を巡る騒動…。
不穏さをはらむこの土地に“怪物”は現れた。
仁谷擁する香山藩では病みついた小姓・直弥や少年・簑吉らが、香山と反目する永津野藩では専横な藩主側近の弾正や、心優しきその妹・朱音らが山での凶事に巻き込まれていく。
礫も弓も鉄砲も、それに火さえつうじぬ、恐るべき怪物の正体とは?
交錯する北の人々は、それぞれの力を結集し、“災い”に立ち向かう!
山は飢え、怒っている…。
大魔神のような一大スペクタクル作品といえる。
ただ違うのは、大魔神は善の使者だが、この怪物は悪の塊である…。
結末は切なく哀しく美しい。