「これ見てください」初老の御婦人が、困り果てた様子。
お品物は、和服を、リフォームして創られたスーツの上着である。
銀彩と刺繍があり、訪問着か、附け下げであったと思われる。
衿と脇マチの部分に、ひどく黄変したシミがある。
詳しく検品させていただくと、袖と背にも、シミがある。
「着物を着なくなったので、見かけた店で洗張りをして、スーツ上下にリフォームしてもらったのよ。」
仕上がって、大事にタンスの中に、入れて置いたのだと言われる。
袖を通すのを楽しみにしていたのだが、出してビックリ!!
あわてて、クリーニング屋に持ち込んでみたけれど、「このシミは無理です。」と断られたとの事。
薄いグレーの地色に、黄変した輪じみがでているが、どのしみも、縫い目を渡っていない。
洗張りをして、パターンをおこし、生地を裁断する時すでに付いていた、あるいは残っていたシミだろう。
「もともと着物に、シミが出ていませんでしたか?」とお聞きすると、「しみは確かにあったと思うし、着られなくなったので洋服にリフォームした。」とお返事
「でも、洗張りもそのお店でしてもらったし、シミは取れてたはずだ。取れてなかったら洋服にしなかった。一言、いって欲しかった。」といわれる。
しかし、洗張りだけでは変色のシミは取れない、しみ抜き、色のはき合わせをしっかりしておいてから、裁断縫製をすれば、よかったんだと思う。
柄合わせも、縫製もしっかりしているし、デザインもオーソドックスな物ではあるが、柄と良く合っている。
着物の生地は、巾が狭い為、洋服にするには工夫が必要である。
スーツ上下を創るとなると、パーツを取るのも裁断が、大変だったとは思う。
しかし、変色のシミを取り残したまま、仕立てをしたのはいただけない。
お客様に事前の確認をとるべきだし、仕立て上がりをお客様も検品すべきだった。
「しみ抜きは充分出来るが、料金はかなり、かかると思う。 とても、数千円という予算では無理です。」とお話しすると
「困ったどうしよう」 しばし 沈黙。
「せっかく、楽しみにしてたのに、思い切って費用も懸けたのに。」 また沈黙
黄変のしみ抜きをすれば、グレーの地色は、完全に抜けてしまうだろう。
地直し、染料のはき合わせに手間はかかるだろうが、直す自信はある。
「しみ抜きは、手間と料金はかかるけど、お召しになれるような状態には戻せますよ。」と声をかけても、お顔から無念の色は消えなかった。
「一度お持ち帰りになって、よく考えて、もし、よければお仕事させていただきます。 時間を懸けて、考えてみましょう。」 とお話しすると
「簡単に取れると思っていたけど、頼みの綱の、おたくにそう言われると、しかたがないわ。」 残念そうに出てゆかれました
お客様からの一方的なお話で、軽々に判断するべきではないけれど、落胆ぶりを見ると、リフォーム店に問題があるだろう。
いい仕事 言葉にすれば簡単だけど、お客様にとっていい仕事でなければ、 仕事をする側にとって、都合のいい仕事にすり替えてしまう事は許されない。
我に置き換えて肝に銘じるべき事だ。
それにしても、シミさえちゃんと取っておけば、惜しい、残念、無念!!
しみぬき110番 ハイドライ森内HPはこちらから
お品物は、和服を、リフォームして創られたスーツの上着である。
銀彩と刺繍があり、訪問着か、附け下げであったと思われる。
衿と脇マチの部分に、ひどく黄変したシミがある。
詳しく検品させていただくと、袖と背にも、シミがある。
「着物を着なくなったので、見かけた店で洗張りをして、スーツ上下にリフォームしてもらったのよ。」
仕上がって、大事にタンスの中に、入れて置いたのだと言われる。
袖を通すのを楽しみにしていたのだが、出してビックリ!!
あわてて、クリーニング屋に持ち込んでみたけれど、「このシミは無理です。」と断られたとの事。
薄いグレーの地色に、黄変した輪じみがでているが、どのしみも、縫い目を渡っていない。
洗張りをして、パターンをおこし、生地を裁断する時すでに付いていた、あるいは残っていたシミだろう。
「もともと着物に、シミが出ていませんでしたか?」とお聞きすると、「しみは確かにあったと思うし、着られなくなったので洋服にリフォームした。」とお返事
「でも、洗張りもそのお店でしてもらったし、シミは取れてたはずだ。取れてなかったら洋服にしなかった。一言、いって欲しかった。」といわれる。
しかし、洗張りだけでは変色のシミは取れない、しみ抜き、色のはき合わせをしっかりしておいてから、裁断縫製をすれば、よかったんだと思う。
柄合わせも、縫製もしっかりしているし、デザインもオーソドックスな物ではあるが、柄と良く合っている。
着物の生地は、巾が狭い為、洋服にするには工夫が必要である。
スーツ上下を創るとなると、パーツを取るのも裁断が、大変だったとは思う。
しかし、変色のシミを取り残したまま、仕立てをしたのはいただけない。
お客様に事前の確認をとるべきだし、仕立て上がりをお客様も検品すべきだった。
「しみ抜きは充分出来るが、料金はかなり、かかると思う。 とても、数千円という予算では無理です。」とお話しすると
「困ったどうしよう」 しばし 沈黙。
「せっかく、楽しみにしてたのに、思い切って費用も懸けたのに。」 また沈黙
黄変のしみ抜きをすれば、グレーの地色は、完全に抜けてしまうだろう。
地直し、染料のはき合わせに手間はかかるだろうが、直す自信はある。
「しみ抜きは、手間と料金はかかるけど、お召しになれるような状態には戻せますよ。」と声をかけても、お顔から無念の色は消えなかった。
「一度お持ち帰りになって、よく考えて、もし、よければお仕事させていただきます。 時間を懸けて、考えてみましょう。」 とお話しすると
「簡単に取れると思っていたけど、頼みの綱の、おたくにそう言われると、しかたがないわ。」 残念そうに出てゆかれました
お客様からの一方的なお話で、軽々に判断するべきではないけれど、落胆ぶりを見ると、リフォーム店に問題があるだろう。
いい仕事 言葉にすれば簡単だけど、お客様にとっていい仕事でなければ、 仕事をする側にとって、都合のいい仕事にすり替えてしまう事は許されない。
我に置き換えて肝に銘じるべき事だ。
それにしても、シミさえちゃんと取っておけば、惜しい、残念、無念!!
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