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『疑われざる者』 シャーロット・アームストロング(著),衣更着信(翻訳)

2024年09月30日 21時29分30秒 | ■読書
アメリカの作家シャーロット・アームストロングの長篇ミステリ作品『疑われざる者(原題:The Unsuspected)』を読みました。
アリ・ブランドンの『書店猫ハムレットの挨拶』に続き、アメリカの作家の作品です。

-----story-------------
天衣無縫の隠れ蓑を持つ“疑われざる者”の正体は? 

無数の崇拝者を持つ元舞台監督のグランディスン。
彼は秘やかだが恐るべき魔力で誰をも虜にしてしまう。
だがこの男こそ、奸智にたけた冷酷きわまりない殺人鬼なのだ。
男の邪悪な正体を知る者は二人だけだった。
グランディスンに恋人を殺された青年フランシスと、青年に同情する少女と...復讐を誓うフランシスは、グランディスンの家に身を寄せる娘が行方不明と知り、娘の婚約者を装って殺人の証拠を集める。
だが、当の娘は生きており、さらに殺人鬼は動揺したフランシスの命を狙ってきた!緊迫した追跡劇を繊細な筆致で綴る、サスペンス小説。
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1946年(昭和21年)に刊行された作品です……小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。

退役軍人フランシス・モイニハンは復讐を決意した……狙いはもと演出家ルーサー・グランディスン、この男こそ秘書であるフランシスの恋人ロザリーン・ライトを殺した殺人犯なのだ、、、

フランシスは、憎むべき男の家に身を寄せる娘マチルダ(ティル)・フレイジャが事故で行方不明と聞き、彼女の婚約者と称して殺人の証拠集めを始めた……が、そのマチルダが生きて戻ってきた。

しかも追い撃ちをかけるように、動転したフランシスの命を狙ってついに殺人鬼が本性を現わしたのだ! 絶体絶命の窮地に陥ったフランシスを救うものは? 緊迫した追跡劇と女の微妙な心理を繊細な筆致で綴るサスペンス傑作。

演劇界の巨匠、劇作家のグランディスンが秘書のロザリーンを死に追いやったことを確信する婚約者のフランシスが、復讐のためにグランディスンの家に潜入する……という、悪者というか、敵がはっきりした王道的な展開のサスペンスでした、、、

グランディスンの家に身を寄せる身寄りのない金持ちの娘マチルダが海難事故で死亡したと思われたことから、それを利用してフランシスはマチルダの夫を装っていたものの、マチルダが生還したため思惑が崩れ窮地に陥る……という序盤の展開は、やや退屈でしたが、終盤、グランディスンを追い詰めようとしたフランシスが逆に捕らえられ、監禁され危機的な状況に陥り、頑なだった気持ちが打ち解けてたマチルダや若い叔母のジェーンが、フランシスを救出するために奔走する展開は、テンポが良く緊張感に溢れ、とても愉しめましたね。

終盤の面白さが、序盤から中盤の退屈さを帳消しにしましたね……でも、振り返ってみると、活躍したのはフランシスではなく、マチルダとジェーンという2人の女性だったような、、、

アルフレッド・ヒッチコック監督に映画化してもらうと面白くなりそうな素材だと思いました……邦訳が1956年(昭和31年)ですからねー 仮名遣いや漢字、文体が、やや読み辛かったかな、仕方ないけどね。
コメント
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