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『ツィス(広瀬正小説全集2)』 広瀬正

2024年09月28日 21時03分56秒 | ■読書
広瀬正の長篇SF小説『ツィス(広瀬正小説全集2)』を読みました。
広瀬正の作品は初めて読みました。

-----story-------------
謎の騒音公害事件が首都圏をパニックに…
突然、謎のツィス音=二点嬰ハ音が神奈川県で発生した。
やがてそのツィス音は拡大し、首都圏を襲う。
未曾有のノイズ災害に襲われた人々の選択とは?
パニック小説の傑作。
(解説/司馬遼太郎)
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1971年(昭和46年)に刊行された作品で、直木賞に推されたが落選、司馬遼太郎のみが激賞したが、他の委員がすべて反対して受賞にいたらなかった……という興味深いエピソードを持っている作品です。

 ■イントロダクション
 ■レベル1
 ■レベル2
 ■レベル3
 ■レベル4
 ■レベル5
 ■レベル6
 ■レベル0
 ■エンディング
 ■解説 ふしぎな世界を構築した天才 司馬遼太郎

東京近郊の海辺の町で密かにささやかれはじめた奇妙な噂……謎のツィス音=二点嬰ハ音が絶え間なく、至るところで聴こえるというのだ、、、

はじめは耳鳴りと思われたこの不快な音はやがて強さを増し、遂に首都圏に波及して、前代未聞の大公害事件に発展していく……耳障りな音が次第に破壊していく平穏な日常、その時、人びとが選んだ道は? そして「ツィス」の正体は? 息もつかせぬパニック小説の傑作。

謎のツィス音騒動が首都圏に波及……首都圏全域の住民に避難指示が出るまでに事態は発展、、、

日本各地に住民の避難が完了した首都圏には、警察・消防・各官庁の代表からなる約2,000名の留守部隊が残ることに……しかし、その中には未だにツィス音が聴こえない人々も……。

ツィス音騒動とは何だったのか……パニックに陥りそうな状況での専門家や公的機関からの発表が住民に与える影響や、そんな状況下での集団心理、、、

そして、聴覚に与える外部からのほんの小さな変化を、持続的そしてひろく社会一般に加えると人間はどうなるのか? 耳鳴りかも……という状態から、普遍的に微量な音により聴覚が犯されると知ったとき、緩慢な形でパニックが起きる というじわりじわりと忍び寄る恐怖が巧く描けていた作品だと感じました。

賛否が分かれるところでしょうけど……個人的には好きですねー 読み終えてみると、SFというよりもミステリの要素の方が強いのかも と感じましたね、、、

将来起き得る、何かを暗喩しているような、そんな印象も残す佳作でした。

以下、主な登場人物です。

榊英秀
 後半は榊の視点でストーリーが語られる。後天的に聴覚を失ったイラストレーター。
 避難指示の出た首都圏の様子をイラスト化するという目的で留守舞台として首都圏に残る。

ダイアン稲田
 ハーフのファッションモデル。榊の同棲相手でもある。榊と共に留守部隊として首都圏に残る。

日比野教授
 音響学の権威。前半のストーリーの中心人物。
 ツィス音の測定装置を作り、ツィス音が次第に大きくなって行く危険性を訴える。

秋葉憲一
 精神疾患専門医。ストーリーの序盤と終盤に登場する。
コメント
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