遊鵬窟

展覧会感想メモ等

瀬戸神社~海の守護神~

2013-06-09 18:59:47 | 展覧会

会場:神奈川県立金沢文庫 会期:2013年6月9日まで

http://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/bunko/tenji.html

 

大神社展タイアップ企画なのか,小振りながら作りの良い神像が沢山見られます。併せて,1階には,龍華寺の元になったのが瀬戸神社の別当寺だった関係で,神奈川県の誇る天平仏,龍華寺の脱乾漆造菩薩半跏像が特別公開されています。

 

会場では,玉眼造の阿形と吽形の随神座像一対が,一癖も二癖もありそうな表情で出迎えてくれます。仏師が仁王像を神像化するとこんな感じになるのでしょう。

 

本殿の諸像では,つり目の男神坐像と女神坐像,威厳のある童形形神坐像,彩色のよく残る唐裳姿の女神坐像などが,最小限の鑿遣いで小ささを感じさせない量感ある造形を生み出し,並々ならぬ彫技がうかがえます。

 

1Fに出陳の龍華寺の脱乾漆造菩薩半跏像は2回めの対面ですが,華麗な髷に端正な面貌,肩衣の曲線の玄妙,白鳳仏を思わせる張りのある胴部,奈良の脱乾漆仏と比べても出色の像といえます。まだ市文なのが理解できません。大人の事情があるのでしょうか。江戸期以前の伝世では東限の脱乾漆仏ですが,近年庫裏改築で見つかるまで知られていなかったという,来歴の謎も含め,非常に興味深いところです。奈良時代に持ち込まれたのか,それとも南都焼討の後,鎌倉幕府の要人が持ってきたのか・・・・

 

観覧後,瀬戸神社と摂社の琵琶島神社まで歩いてみました(1駅分)。海に面した気持ちのよい場所にあります。特に,琵琶島神社は,突堤を通って,小橋を渡る小島にあり,沖の潮が流れ込んでくると見えて,周りの海水が澄んでいます。やはり,弁才天社(サラスヴァティ=アナヒータ)は,海にしろ,池にしろ,きれいな水の畔にあってこそ。

 

観覧日:2013年6月9日


高橋真琴個展 海のファンタジー~人魚の世界~

2013-06-09 17:56:24 | 展覧会

会場:ギャラリー向日葵 会期:2013年6月8日まで

 

画業60年を迎える高橋先生の個展。

 

高橋先生は確立した様式(マニエラ)の中で,毎回新趣向というか,遊びをいれてきますが,今回は人魚の国変わり特集です。非売品の大作は赤毛の人魚ですが,70年台の挿絵でも背景に描かれているクラゲは,今回背景でダンスをしています!縄文人魚という,他の人なら描きそうもないものも。

 

70年台の絵本挿絵の人魚姫は,王子救出と海の泡になるラスト場面の構図と色遣いが秀逸。いつもながら,保存状態の良さには驚かされます。

 

販売対象作品は,6月1日段階ですべて完売していました。

 

2013年6月1日観覧