会場:東京国立博物館 会期:2014年9月15日まで
NHK等の共催メディアの契約違反(「國立」削除のポスター,招待券等配布)と,東博の管理不行き届きにより,直前にあわや開催中止になりかけたのですが,どうにか開会式が開かれました。
銭谷館長の芸の無い謝罪挨拶(典型的な官僚の作文)にひきかえ,馮院長の答辞は,汝窯を引き合いに出すなど,気がきいていました。通訳が「中華民国」のくだりで,そのまま言っていいものか迷っていたのが印象に残りましたが,年号に民国暦でなく西暦を使うなど,台湾側が相当気を使っている感じでした。
展示中止の危機を招いたメディアの当事者らが,何事もなかったかのようにテープカットする様は厚顔の極みでしたが,開会式の報道を相変わらず「國立」抜きで行っているところを見ると,何の反省もしていないようです。
今回,書画がすごいのは予想していましたが,中でも圧巻は,唐の青緑山水2点と巨然の真筆山水です。青緑山水は日本の大和絵の画法の祖形ということですが,たしかに樹木の描き方,色遣い,人物の配置にまぎれもなく影響を及ぼしています。これは今回の大きな発見でした。また,巨然の山水には,天才は一挙にそのジャンルの芸術を完成させてしまうということを,改めて見せつけられました。逆に,これを見るまで山水画を見たと言うなという感じです。
書の方は,蘇軾が後期展示で見れなかったのですが,王羲之の唐摸本2点,徽宗をはじめ,蔡襄,黄庭堅が特に充実しています。黄庭堅は文人の書というより,逍遥游の余裕を感じます。かといって,決して枯れていない,まさに「游」。米芾は今回おとなしめの作品を選んだかんじですが,蔡卞,楊維禎というニューフェイスを発見。2人とも性格に難ありだったようですが,書もなかなか個性的です。
工芸品では元代の織物が超絶技巧で,どうやって織ったのか驚愕。
2014年6月23日観覧