遊鵬窟

展覧会感想メモ等

ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900

2014-03-09 22:40:19 | 展覧会

会場:三菱一号館美術館 会期:2014年5月6日まで

ブロガー内覧会に参加しました。独自企画だけあって、当時のイギリス社会の思潮としての唯美主義を、応用美術や中産層向けインテリアマニュアル、ジャポニズムと古典復興とオリエンタリズムの結合、スキャンダラスな事件といった多面的な切り口で捉えた野心的な展示です。

会場もオリジナルはコンドル設計ということで、展示品とはまりすぎているくらいです。なんとなく、英国のジェントリの館を探索している感があります。

出品作の中では、素描に良いものが目立ちます。レイトンがチャールズ・リケッツに注文した「オイディプスとスフィンクス」、シメオン・ソロモンのソドマばりの昏い情念の影の落ちた「パリサイ人の家のマグダラのマリア」は特に秀逸。

今回、ムーアの作品が割とまとまって出品されています。ポーズはエルギン・マーブルズの影響がもろに出ていますが、描法はベラスケスを研究した形跡があります。ただし、ベラスケスのような完璧な情報圧縮を速い筆遣いで実現できていないので、ベラスケスのような澄み切った画面とは趣が違います。むしろ平面性が強いといえるでしょう。


東京アートフェア2014

2014-03-07 07:43:59 | 展覧会

会場:国際フォーラム展示ホール 会期:2014年3月9日まで

VIPカードを頂いたので下見会に参加。

KAMIYA ARTさんに挨拶。龍口経太の風景水墨は大作2点と小品数点。掛け軸はすでに外国人バイヤーがお持ち帰りでした。大作の1点は12月の展示に出ていたもので,,数ヶ月を経て描いた作品との作風の違いに注目。12月展のが,時が流れ去ってニルヴァーナに至った世界樹の骸であるならば,より明確な輪郭線で力強く描かれた新作は,まさに現在形で時の展開のただ中にある世界樹と人為との相克のようです。もう一方の特集は画廊員だった涼さん。特徴的な墨絵の人物画。瞳に力があります。よく売れていました。

龍口経太はギャラリー小暮にも2点旧作が出ていて,どちらも売約済み。「熾天」は,「魔由」と同時買いする予算がなくて見送ったんで,また会えて,そして行き先が決まってうれしい。「魔由」を断念すれば,今頃手許にあったのかもしれないけれど,まあこれも縁ですね。

他は,浮世絵春画,藤田嗣治,サファヴィー/ムガール細密画,宋磁にいいものがありました。

2014年3月6日観覧