遊鵬窟

展覧会感想メモ等

森本草介展

2014-02-23 14:46:16 | 展覧会

会場:日本橋三越

はじめて注目したのは1989年頃,生協書籍部で立ち読みした美術雑誌の個展紹介欄(女性像)でした。作品を実際に見る機会を得たのは本当にごく最近ですが,やはり,裸婦にしても静物にしても次元の違う実力を感じます。

葡萄は正直シャルダンより上手いと思います。

しかし,短期間でここまで集めた保木さん,すごすぎ。

2014年2月17日観覧


A frog, a spring and Spring! 泉水xケンタロー Spring Exhibition 2014

2014-02-23 13:49:28 | 展覧会

会場:Gallery花影抄 会期:2014年2月23日まで

Gallery花影抄は根付・動物フィギュア関係の画廊として名前は知ってましたが,弥生美術館の帰りに案内板を見て初訪問。

ケンタローの蛙はガラスの光沢が素材的によくマッチしてしていました。ヤモリも,白ガラスを使うことでうまく処理しています。

2014年2月22日観覧

 


天上の舞 飛天の美

2014-02-23 13:33:40 | 展覧会

会場:サントリー美術館

随分前に見た展覧会なので,気になった作品のみメモしておきます。

文化庁蔵の雲中供養菩薩(No.72)は,平等院のそれよりも上作。工人の並々ならぬ技量を感じます。

国宝の阿弥陀如来坐像光背飛天は,間近で見るとやや鈍い造形に見えますが,実は実際に安置された時の距離が計算されており,距離おいて仰ぎ見ると立体感が強調されるようになっています。美術品鑑賞で本来の設置環境を考えに入れなければならないことを再認識させられました。

何気なく展示されていた唐代の「飛天図」(No.15)。伝敦煌西千仏洞だそうですが…。研究が進みつつある西千仏洞にはまだまだ知られざる造形がありそうです。

2014年1月2日観覧


降臨!神業絵師 伊藤彦造という男 ペン一本で極めた挿絵道

2014-02-23 12:39:21 | 展覧会

会場:弥生美術館 会期:2014年3月30日まで

武者絵に関して天下一の伊藤彦造,久々の展覧会です。

今回は,輸入ペン入手秘話や,あまりにもリアルなポーズの秘密(展覧会会場で確かめられたい)や陸軍・GHQとの関わりを示す遺品など,制作環境にもスポットライトを当てるとともに,原画と印刷の対比も試みた展示でした。

子供だましでない,子供のための著作って,実はどのジャンルでも一番難しいところですが,まさに真剣勝負の作品ぞろいです。また,超絶の原画と当時の印刷技術の対峙についても,画家と現場の火花を散らすぶつかり合いが透けて見えるようです。

絹本本画も数点展示されていますが,これまた超絶で,さすが橋本関雪門下。竹内栖鳳以来のリアリズムの正統な系譜を踏むものでしょう。好みはわかれるでしょうが,肌色の表現に特徴があります。この点は近代的感性を感じるところです。たまに古書・古美術市場でも伊藤彦造の軸物をみかけます。

なお,1Fの壁側展示は展示品との距離があるため,細密なペン画を鑑賞するには,単眼鏡の持参がお勧めです。

2014年2月22日観覧


ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢

2014-02-23 10:20:08 | 展覧会

会場:森アーツセンターギャラリー  会期:2013年4月6日

特別鑑賞会に参加しました。写真は撮影許可を受けております。

ラファエル前派の代表作がずらりと並んだ、いわば決定版ラファエル前派展ですね。展示構成は、作家別ではなく、テーマ別に配列し、その中で作家を順次紹介してゆきます。

第1室「歴史」の中心は、ミレイ。「マリアナ」や第2室「宗教」の「両親の家のキリスト」に見る、青のベルベットの深みを帯びた質感の妙は、ファン・アイクと並ぶ高みにあると思います。「マリアナ」のハツカネズミや「オフィーリア」のコマドリに見られる小動物への関心は、デューラーの影響を感じます。「オフィーリア」は、前回来日した時のBunkamuraよりも明るい照明の下で真近に鑑賞できます。ドレスの刺繍の煌めき、森の深さ、水の速さ…英国人ならではの透明感のある色彩感覚と空気感は、やはり第1室に置かれるべきものでしょう。

第2室「宗教」の中核も、ミレイの「両親の家のキリスト」。研究しつくされた構図、各人物の表情の対比、暗喩の見事な統合は、「近代」の感性と「古典」との対話がもたらした1つの到達点と言えるでしょう。ミレイにここまでやられると、他のメンバーは象徴主義に傾くか、美術評論に向かうのも仕方がないかもしれません。なお、ミレイの素描が、本画とは全く画風が違うのには驚きました。

第3室「風景」ではダイス「ペグウェル・ベイ、ケント州ー1858年10月5日の思い出」が白眉。写真の影響を思わせる不思議な遠近感、浮世絵を思わせる人物配置が悠久の時間の中にとけ込んでいます。

第5室「詩的な絵画」で注目すべきは、エリザベス・エレノア・シダル。今までモデルとしての彼女しか知らなかったのですが、今回2点の小品が紹介されていて、その天稟と成長の速さに衝撃を受けました。同年の作品と見られるのに「騎士の槍に小旗をつける貴婦人」から「淑女達の哀歌」の間に長足の進歩があり、後者ではモローばりの繊細かつ音楽的な筆遣いと色遣いがあらわれています。もし、ロセッティやミレイが本気で彼女に技術を教え、作品発表の機会を与えていたなら、どうなっていたか……

展覧会の末尾は、ロセッティとバーン・ジョーンズの著名作品の一挙展示で締めくくられます。「ベアト・ベアトリクス」と「プロセルピナ」、作品の高みに比例する作家の業の深さがここまで込められた2作品が並び立つ前では、色々な意味で打ちのめされます。

2014年2月20日観覧