永遠の・・・

メ『おまえがいたから、オレはあそこまでやれた・・・

　　おまえがいたから、オレはあそこまでがんばれた・・・

　　おまえを倒すために、オレは強くなった・・・


　　２０００年、冬。
　　オレはまだおまえのことなんか意識すらしなかった。
　　ただ、自分のため、先生のために走った。ひたすら走った。
　　運よく中京記念なんて重賞も勝てた。
　　でもまだ、意識はしていなかった。
　　おまえは遥か向こう、雲の上の存在だった。

　　
　　初めておまえを見たのは宝塚記念。
　　夢にまで見たＧＩだった。
　　それまでの実績からおまえは当然の１番人気。
　　オレはここ２戦いい競馬をしていたから、それなりに自信はあった。
　　でもおまえには敵わないだろうな・・・とも思っていた。


　　案の定、おまえには敵わなかった。

　　でも、手応えはあった。
　　正直、ここまでやれるとは思わなかったし、自信がついた。
　　でも思えばこれがオレを苦悩へと導いた１戦だったんだ・・・

　　
　　秋。
　　堂々と臨んだ天皇賞。
　　完敗だった。まさに完敗。
　　でもジャパンカップで一瞬夢を見た。
　　ほんと一瞬だったけどさ。
　　そして、有馬記念では確信までいったんだ・・・
　　

　　でも、
　　
　　でも、
　　
　　前にはおまえがいつもいた。


　　どうしても勝てない・・・はっきりいって、宝塚記念でのあの差のせいで、
　　自分があの【覇王】と呼ばれる馬と互角にやれると思ってしまったんだ・・・
　　実際はあんなもんじゃなかった。
　　【覇王】の実力はとんでもなかった・・・


　　休養のときはず～っとあいつを倒す方法を考えていた・・・わけじゃない。
　　半ば諦めもあった・・・なにせ２０００年はオレのピークだった。
　　そこに大きな壁として立ちはだかったんだから。


　　でも人間の間ではあいつは認めてもらえなかったようだ。
　　なんで？意味がわからない。
　　あの強さ・・・抜こうと思っても絶対に抜かせてくれなかった。
　　押し切ったと思ったら、差してきた。
　　
　　どう戦えば？


　　でもオレはあと１年やってみようと決めたんだ。


　　２００１年。
　　日経賞は負けられなかった。きわどかったけど、自信はあった。
　　そして天皇賞（春）。
　　まただった・・・まただ・・・
　　さすがにこのときは凹んだもんだ。
　　次がラストって決めたよ。康さんもそう言ってたっけ。


　　マジで気合が入ってた宝塚記念。
　　やってやったぜ・・・(￣ー￣ )
　　あいつに不利があったとか・・・そんなことはどうでもいい。
　　オレはあいつに先着することが、最大の目標だったんだ。

　　ちょうど１年前に出会った【覇王】に・・・ついに勝ったんだ。
　　

　　でも正直、オレはここで何か糸が切れちまったらしい。
　　自分でもそれは感じてた。
　　秋の３戦は、なんかチグハグで、なんか、モチベーションが低かった。
　　
　　その原因として、天皇賞であいつが負けたこともあるのかもしれない。
　　年下のやつにやられることほど悔しいことはない。
　　ジャパンカップもそうだ。あれは決定的だった・・・


　　去年はオレら２頭が秋を引っ張れた。
　　でも、もうオレたちの時代は終わったんだと感じたよ。


　　唯一の救いは有馬記念であいつに先着できたこと。
　　さりげなく自慢だったりして(´▽｀*)


　　今頃、あいつは何やってんのかな？
　　元気でやってんのか？
　　そろそろ子供たちも顔をあわせる頃だろう・・・楽しみだ。

　　【オペラオー】元気でやってるか～？』

テ『うん(´・ω・`)』
メ『あ』
テ『あ、じゃねーよ
　　途中から聞いてればまったく１人で浸っちゃってよ～
　　『元気でやってんのか？』だ？
　　毎日会ってんじゃねーか(*｀д´)b』
メ『(´▽｀*)アハハ 』
テ『(´▽｀*)アハハ
　　じゃねーよまったくよ～・・・』
メ『(´∀｀*)アハハ』


ペチャクチャ、ペチャクチャ。

昨日の敵は、今日の友。
永遠のライバルは、永遠の友。


おしまい


【メイショウドトウ】と【テイエムオペラオー】でした。



写真は、『風光名馬』さんからご提供いただきました。ありがとうございます。
お馬さんの綺麗な写真が揃っております。
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