平成22(行ケ)10221:3部
本件は差し戻し後の無効審判不成立審決について取消を求めるものです。
1 本判決は、第1に、職権審理通知書の記載が、審決の結論又は理由を拘束すると解する根拠はないと判断しています。
2 本判決は、第2に、訂正に関連して、「ケースを薄型化すると、厚み方向の部材の寸法が縮小するため、その分強度が低下する可能性があり、薄型化したディスク用ケースを提供するために強度の維持又は強化に関する技術的事項は訂正発明と技術的関連性を有するといえる」の判断しています。これは、技術常識に基づく判断といえましょう。
3 本判決は、第3に、特許法36条1項1号の解釈について、「特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明に記載された技術的事項を超えるか否かを必要かつ合目的的な解釈によって判断すれば足りる」と述べています。「合目的的な解釈」という文言の趣旨は、文言を字句通りに形式的に解釈するのではなく、技術常識を踏まえて上で実質的に解釈すべきことを意味しているものと思われます。
4 本判決は、第4に、容易想到性の判断に関して、甲51ないし62に記載された技術は、それが周知技術であったとしても、無効審判において提出された甲1ないし8等に記載された公知技術を単に補うことに止まらず、容易想到性を基礎づける文献であるとして、これらに記載された技術に基づく進歩性等の無効原因を新たに訴訟で主張することは許されない、と判断しました。
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