*** june typhoon tokyo ***

MY FAVORITES ALBUM AWARD 2017


 独断と偏見で決める〈マイ・フェイヴァリッツ・アウォード〉の2017年版の第2弾はアルバム篇です。近年“新作チェック機会があまりなかった”という状況がますます増加傾向にありますゆえ、2017年のリリース作の多くの中からというよりも、2017年に耳にすることが出来た作品の中から個人的に気になった作品をピックアップするスタンスですので、その点はお許しください。

 まずは、ノミネート20選をご紹介。

◇◇◇

◇◇◇

01 BriaMarie/432
02 Chris Brown/Heartbreak on a Full Moon
03 Especia/Wizard
04 FKJ/French Kiwi Juice
05 Gavin Turek/Good Look For You ※ジャケットは7インチのもの
06 H.E.R./H.E.R. Vol.2
07 Keyshia Cole/11:11 Reset
08 LeToya Luckett/Back 2 Life
09 Llorca/The Garden
10 Mary J. Blige/Strength of a Woman
11 Miguel/War & Leisure
12 Mila J/Dopamine
13 Moniquea/Blackwavefunk
14 Moonchild/Voyager
15 Mura Masa/Mura Masa
16 N.E.R.D/No_One Ever Really Dies
17 Sevyn Streeter/Girl Disrupted
18 Syd/Fin
19 Sza/Ctrl
20 TLC/TLC

◇◇◇

 テラス・マーティンのプロジェクトのポーリーシーズやdvsn、ジョン・レジョンド・ライクなマリ・ミュージック、リーラ・ジェイムス、1-O.A.K.、テイマー・ブラクストン、カルヴィン・ハリス、ダイエ・ジャック、サッシーブラックなど挙げたらキリがありませんが、上述より評価が低いというよりは聴き込みが圧倒的に少ないゆえ俎上に乗らなかったという意味合いが強いので、あくまでも現時点での“ノリ”でセレクトした結果がこうなったというだけですので、悪しからず。

 では、2017年のマイ・フェイヴァリッツ・アルバムの発表です。
 5位からカウントダウンしていきます。



◇◇◇

【MY FAVORITES ALBUM AWARD 2017】

【第5位】

ブリアマリ―『432』
(Briamarie/432)

 米・メリーランド州コロンビアを拠点とするブリアマリー。ミュージック・ソウルチャイルドとのコラボレーション「オーケイ」が“ミュージックとメアリー・J.ブライジの名デュエット「イフユーリーヴ」再びか”と称されているとかいないとか。カーヴィン&アーヴァインのレーベル第1号アーティストでもあり、フィリー風味もちらつくR&B作として久々の期待作。ところどころでビヨンセ的な節回しを効かせたりも。



【第4位】

H.E.R.『H.E.R.ヴォリューム2』
(H.E.R./H.E.R. Volume 2)

 2016年の『H.E.R.ヴォリューム1』に続くEP第2弾。“H.E.R.”という名前以外は不明というミステリアスな登場の仕方で注目されたが、どうやら12歳でアリシア・キーズと比較された才能を持ち、ニック・キャノンと主に活動をしていたギャビー・ウィルソン(Gabi Wilson)ではないかとの噂。アンビエント風味のR&Bという2010年代後半以降のトレンドに見合った曲風。ジェネイ・アイコよりも丸みがありそうなヴォーカルも心地良い。



【第3位】

キーシャ・コール『11:11リセット』
(Keyshia Cole/11:11 Reset)

 メアリー姐さんに継ぐ“クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル”として期待されたニューカマーも本作で7作目。エピックに移籍して初となるアルバムは、移籍が奏功してか彼女らしいドラマティックなR&Bをしっかりと歌い込むことに成功。訴求力の高いミディアムを中心として、媚びを売るようなチャラいアップに目もくれないなど、ようやく本来の安定感を醸し出したといっていい力作。



【第2位】

ムラ・マサ『ムラ・マサ』
(Mura Masa/Mura Masa)

 英・ジャージー島出身のプロデューサー、アレックス・クロッサンによるソロ・プロジェクトのデビュー・アルバム。2015年にEP『サムバディー・サムウエア』でデビューし、2016年はフジロックで初来日。名刀“村正”の名を冠したアーティスト名ということもあって、早いうちから日本でも注目を浴びていた。エイサップ・ロッキー、チャーリーXCX、ネイオ、デーモン・アルバーン(ブラー)、ラッパーのデザイナーなどが参加。エレクトロとR&B、ヒップホップなどとの絶妙な融合が耳を躍らせる。



◇◇◇

 第5位から第2位までをサラッとご紹介しましたが、正直もっと綿密にあれこれ比較したくなったりして入れ替えたくもなったりしましたが、ひとまずこれで収めておきました。
 さて、続いて第1位の発表に移りたいと思いますが、その前に特別賞を1作品挙げておきたいと思います。

【特別賞】

callme「Bring you happiness」
(callme/Bring you happiness)

 以前記事にもしたのですが、KOUMI、RUUNA、MIMORIによるガールズ・ユニット、callme(コールミー)の4thシングル。たまたまライヴ会場でいただいたのですが、これがなかなか良く、意外とヘヴィロテしたこともあり、特別賞に。タイトル曲の「Bring you happiness」も甘酸っぱさと爽やかさが薫るナイスなポップスなのですが、カップリングの「It's own way」が「ボヘミアン・ラプソディ」もビックリな(?)10分超の組曲風。しかしながらも飽きがこない“スルメ曲”で、長く楽しませてもらえました。



 5位から2位、そして特別賞を発表し終えたところで、今度こそ2017年の〈マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アウォード〉の最優秀アルバムを発表したいと思います。

◇◇◇

【第1位・最優秀作品】

FKJ『フレンチ・キウイ・ジュース』
(FKJ/French Kiwi Juice)

 ニュージーランド系の仏・パリ出身のクリエイター、FKJのデビュー作。キーボード、ギター、サックス、サンプラー、ベース、ラップトップPC、ヴォーカルの“一人七役”で楽曲制作する姿をYouTubeで公開して話題となるなどマルチな才能の持ち主。楽曲は、メロウでアンビエントなムードに寄り添うようなナイーヴでスムースなヴォーカルとともに、洗練された上質なグルーヴを構築。官能的なベッドルーム・ソングの佇まいを持ちながらも、そこにどっぷりとは浸からない、仏産エレクトロR&Bの先進性が窺える傑作。マセーゴとの共演作も美味。




◇◇◇

 いかがだったでしょうか。
 
 やはり、当初は聴こうと決めていたアルバムが聴けず仕舞いということが少なくなく、もっと挙げておくべき作品が抜け落ちているのではないかと思いますが、ひとまずこのあたりで決着つけておこうと思います。“ドレイク以降のアンビエント”の影響は大きいですが、ちらちらと90~2000年代のR&Bへの回帰があったりして、2018年以降はそろそろネオソウルだのこれぞR&Bみたいな作品も増えるのではないかと感じています。

 最後に、最優秀作品FKJ『フレンチ・キウイ・ジュース』収録の「スカイライン」のヴィデオを見ながら、2017年の〈マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アウォード〉を終えたいと思います。

 2018年もみなさんがグッド・ミュージックに出逢えることを祈って。
 
FKJ - Skyline


◇◇◇

【MY FAVORITES ALBUM AWARD 歴代受賞作】
2005年
ERIC BENET『HURRICANE』
2006年
NATE JAMES『SET THE TONE』
2007年
洋楽部門:LEDISI『LOST & FOUND』
邦楽部門:AI『DON'T STOP A.I.』
新人賞 :CHRISETTE MICHELE『I AM』
功労賞 :ICE
2008年
洋楽部門:Raheem DeVaughn『Love Behind The Melody』
邦楽部門:有坂美香『アクアンタム』
新人賞 :Estelle『Shine』
2009年
洋楽部門:CHOKLATE『To Whom It May Concern』
邦楽部門:該当作品なし
新人賞 :RYAN LESLIE『Ryan Leslie』
2010年
洋楽部門:ERIC BENET『lost in time』
邦楽部門:久保田利伸『TIMELESS FLY』
新人賞 :JANELLE MONAE『THE ARCHANDROID』
特別賞 :『SR2 サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム オリジナルサウンドトラック』 
2011年
洋楽部門:KELLY PRICE『KELLY』
邦楽部門:MISIA『SOUL QUEST』<“77 Minutes Of MISIA”Mixed By MURO>
2012年
洋楽部門:SY SMITH『Fast And Curious』
邦楽部門:AISHA『I,Shout!!!』
2013年
最優秀作:Joe『Doubleback:Evolution Of R&B』
特別賞 :Maxine Ashley『MOOD SWINGs』(配信作品)
2014年
最優秀作:Jesse Boykins III『Love Apparatus』
新人賞 :Tinashe『Aquarius』
2015年
最優秀作:Dornik『Dornik』
2016年
最優秀作:Bruno Mars『24K Magic』

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