*** june typhoon tokyo ***

MY FAVORITES ALBUM AWARD 2013

■ マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アウォード 2013


 遅まきながら、先日の「MY FAVORITES LIVE AWARD 2013」に続き、2013年の個人的ベストを決めてしまうという“マイ・フェイヴァリッツ・アウォード”のアルバム篇をお送りします。 
 
 ライヴ・アウォードの時にも述べたのですが、アルバム・アウォードに関しても、2013年から洋楽・邦楽の別をやめようと思います。理由は、ライヴ・アウォード同様、やはり洋楽に対して邦楽のアルバム購入・試聴の割合が少ないことによるバランスを考慮してのことです。かといって、洋楽がものすごく多いという訳ではないのですが。

 もちろん、これは一時的なものなので、しばらくしたらシラっと洋・邦楽別を復活させるかもしれませんが、ジャンルレスが当たり前になってきた時代ということもあり、あえて選定が難しいなかで区分けを作るのも面倒くさいどうかと思いますし。
 まあ、洋・邦楽の別を取り払ったところで、あくまでも個人的なベストですので、たとえば、ほとんど聴きもしないロック系などから選ばれることは限りなく0%に近い訳ですし、端から穿った独断と偏見なチョイスの企画に区別もいらないんじゃないかなと考えた次第です。

 では、前年までの授賞作品のおさらいです。

◇◇◇

【過去の授賞作品】

2005年
ERIC BENET『HURRICANE』

2006年
NATE JAMES『SET THE TONE』

2007年
≪洋楽部門≫
LEDISI『LOST & FOUND』
≪邦楽部門≫
AI『DON'T STOP A.I.』
≪新人賞≫
CHRISETTE MICHELE『I AM』
≪功労賞≫
ICE

2008年
≪洋楽部門≫
Raheem DeVaughn『Love Behind The Melody』
≪邦楽部門≫
有坂美香『アクアンタム』
≪新人賞≫
Estelle『Shine』

2009年
≪洋楽部門≫
CHOKLATE『To Whom It May Concern』
≪邦楽部門≫
該当作品なし
≪新人賞≫
RYAN LESLIE『Ryan Leslie』
 
2010年
≪洋楽部門≫
ERIC BENET『lost in time』
≪邦楽部門≫
久保田利伸『TIMELESS FLY』
≪新人賞≫
JANELLE MONAE『THE ARCHANDROID』
≪特別賞≫
『SR2 サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム オリジナルサウンドトラック』 

2011年
≪洋楽部門≫
KELLY PRICE『KELLY』
≪邦楽部門≫
MISIA『SOUL QUEST』<“77 Minutes Of MISIA”Mixed By MURO>

2012年
≪洋楽部門≫
SY SMITH『Fast And Curious』
≪邦楽部門≫
AISHA『I,Shout!!!』


◇◇◇

【総評】

 例年、グダグダと総評を書いてきましたが、今年は簡潔に。

 2013年は、たとえばブラック・シーンは、猫も杓子もEDM化への反発から過去の良質作へのより戻しとして60、70年代ソウルへの回帰があった一方、より進化と成熟を求めたEDM化も押し進められて、良質なものをそれぞれのベクトルで制作していこうという動きの継続がなされたような気がしました。

 そこへ80~90年代初頭のアーバンな色合いのもの、たとえば、AOR/フュージョン、シティポップなどの再評価が高まり、明確な区別というよりも、現在において面白いものを積極的に採用するという動きが、新鋭のアーティストやプロデューサーなどが多く現れたのではないかと。

 まとめて言えば、2013年は、2012年の進化・熟成をさらに継続した“繋ぎ”の年だったと思います。2010年代初頭のジャンルに囚われないクロスオーヴァー的な混在を積極的に図った刺激的な段階が、年を重ねるに従って徐々に方向性が固まり、勢いから質を求める熟成期へ入りつつあるというのが、2013年の流れだったのではないでしょうか。

◇◇◇

 ということで、2013年の“マイ・フェイヴァリッツ・アルバム・アワード”のノミネート作品を挙げていきたいと思います。先ほど述べたように、本年から洋・邦楽の別はないので、ノミネート作品を多少多めに選定させてもらいました。

◇◇◇

<ノミネート作品>

【最優秀作品】

エリック・ロウ『ワン・オブ・メニー』
(ERIC LAU/One of Many)
クリセット・ミッシェル『ベター』
(Chrisette Michele/Better)
ジャスティン・ティンバーレイク『ザ・20/20 エクスペリエンス』
(Justin Timberlake/The 20/20 Experience)
ジャネル・モネイ『エレクトリック・レディ』
(Janelle Monae/Electric Lady)
ジョー『ダブルバック:エヴォリューション・オブ・R&B』
(Joe/Doubleback:Evolution Of R&B)
ゾー!『マンメイド』
(ZO!/Manmade)
ダフト・パンク『ランダム・アクセス・メモリーズ』
(Daft Punk/Random Access Memories)
テラス・マーティン『3コードフォールド』
(Terrace Martin/3ChordFold)
ドーン・リチャード『ゴールデンハート』
(Dawn Richard/Goldenheart)
ビラル『ラヴ・サーリアル』
(Bilal/A Love Surreal)
ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ『フォワード』
(The Brand New Heavies/Forward)
マキシン・アシュリー『ムード・スウィングス』
(Maxine Ashley/MOOD SWINGs)
メイヤー・ホーソーン『ホエア・ダズ・ディス・ドア・ゴー』
(Mayer Hawthorne/Where Does This Door Go)
メイリー・トッド『エスカポロジー』
(Maylee Todd/Escapology)
ライ『ウーマン』
(Rhye/Woman)
ラヒーム・デヴォーン『ア・プレイス・コールド・ラヴ・ランド』
(Raheem DeVaughn/A Place Called Love Land)
ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ブラック・レディオ2』
(Robert Glasper Experiment/Black Radio 2)
ロビン・シック『ブラード・ラインズ』
(Robin Thicke/Blurred Lines)
ローラ・マヴーラ『シング・トゥ・ムーン』
(Laura Mvula/Sing To Moon)

Orland『Because Of You』
久保田利伸『Parallel World II KUBOSSA』
Perfume『LEVEL3』
monolog『17 Living Souls』
YOSHIKA『My Anthem』
Rhymester『ダーティーサイエンス』

以上25作品

Bilal_alovesurrealChrisettemichele_betterDaftpunk_randomaccessmemories
Dawnrichard_goldenheart_2Ericllau_oneofmanyJanellemonae_electriclady
Joe_doublebackevolutionofrbJustintimberlake_the2020experienceLauramvula_singtomoon
Maxineashleymoodswings_miniMayerhawthorne_wheredoesthisdoorgoMayleetodd_escapology
Monolog_17livingsoulsOrland_becauseofyouPerfume_level3
Raheem Devaughn/A Placec A Called Love LandRhye_womanRhymester_dirtyscience
Robertglasperexperiment_blackradio2Robinthicke_blurredlinesTerracemartin_3chordfold
Thebrandnewheavies_forwardYoshika_myanthemZo_manmade
_parallelworldiikubossa


 毎年言い訳三昧なのですが、これ以外にも挙げられるアルバムはおそらくあると思っていて、それもこれも「買ったのに聴けてない」やら「まだじっくりと聴いてない」などのものがあるので、ひとまず暫定的な指標だと思っていただけると助かります。

 近年は購入枚数や頻度ともに落ちているのですが、時間的なものもありますが、やはり経済的なところが大きい。となると、必然的に冒険して購入することが減り、まあ安心して聴けるアーティストやジャンルの作品を購入してしまうことが多いです。ということもあって、上記のラインナップ。個人的な嗜好も含め、R&B(特にネオソウル系のR&B)やらジャジーなソウル/ファンク、ヒップホップなどに偏っているのが、最近の食指傾向でしょうか。
 
 ロビン・シックやダフト・パンクなどのファレル節やジャスティン・ティンバーレイクの久々の復帰作は、メジャーどころでもよくヘヴィ・ローテーションしてました。ビラル、ラヒーム・デヴォーン、クリセット・ミッシェルなどは自分のツボのラインなので、飛び抜けてなくても高く評価してしまいますね(もちろん良質作品なのですが)。ラヒーム・デヴォーンは、出るぞ出すぞ詐欺ともいえるディアンジェロやマックスウェルがなかなか作品リリースしないなかで、しっかりと濃厚なネオソウルを受け継いでいる才能ある人なんですが、どうも器用貧乏っぽい感じも。フックがキャッチーな作風を量産するタイプではないから、地味な存在なんですが、もっと評価を与えてもいいと思います。

 面白いところでは、ライ『ウーマン』とか。ジャケットを見て、ピン!ときた人はもうお分かりでしょうが、これがシャーデーを彷彿とさせる……というか、シャーデーがやりたくて作ったみたいな出来でして。コペンハーゲン出身のロビン・ハンニバルとベルリン在住カナダ人のミロシュによるユニット。ロビンはココ・オーとともにクァドロンというユニットでも活動していて、ここでは漏れましたが、その2013年6月のメジャー・アルバム『Avalanche』もいい作品でした。

 ライ、クァドロンといったアーバンな作品への嗜好は、2013年により強まった感じがします。ただ自身が過去にAORやフュージョンにドハマりしていたタイプではないので、そちらへまるまる振り切れることはなかった。そのバランスはやはり、自分がR&Bやヴォーカルを基本的に好んでいるというところもあるんだと思います。
 自身のブームとなるキーワード“アーバン”から、名古屋出身の3シンセ&ドラム編成の4ピース・バンド、Orlandに注目したのもその一つ。トークボックス使いのサマー・クルージング・チューンやアッパー・ビートのシンセ・ポップは、胸を躍らせるものがありました。その絶妙にアーバン加減を施した楽曲という意味で一番期待を寄せているのが、大阪・堀江系ガールズ・グループのEspeciaということになります。世間ではまだ“アイドル枠”ですが、特にアイドル好きでない自分でも、楽曲はかなりのリピート率の高さを誇っていました。

 ……と、またしてもグダグダと続けそうな気配がプンプンなので、そろそろ2013年のマイ・フェイヴァリッツ・アルバムの最優秀作品を発表したいと思います。 


◇◇◇

【MY FAVORITES ALBUM AWARD 2013】

【最優秀作品】

ジョー『ダブルバック:エヴォリューション・オブ・R&B』
(Joe/Doubleback:Evolution Of R&B)

Joe_doublebackevolutionofrb_2


【特別賞】

マキシン・アシュリー『ムード・スウィングス』
(Maxine Ashley/MOOD SWINGs)

Maxineashleymoodswings_mini_2



◇◇◇

 最優秀作品はジョーの『ダブルバック:エヴォリューション・オブ・R&B』にしました。特に奇抜なことをした訳でもなく、そういう意図での強いインパクトはあまりないのですが、コンテンポラリーR&Bをしっかりと忠実に再現した王道作品として、現在において体現してくれた佳作だと思います。まあ、言ってしまえば、この系統の楽曲が好物だということなんですが。あと、この裸ジャケに負けたってことも少しはあるかもしれません。(笑) 
 ジャスティン・ティンバーレイクでもよかったんですが、たぶんそちらは商業媒体の方で嫌というほど挙げられているでしょうから、ここで挙げることもないかと。よくヘヴィ・ローテーションしたのは、ゾー!『マンメイド』、クリセット・ミッシェル『ベター』、メイリー・トッド『エスカポロジー』あたりも。ゾー!は、オランダ出身プロデューサー、ニコレイ(Nicolay)とリトル・ブラザー(Little Brother)のメンバーとしても活動するラッパー/シンガー・ソングライターのフォンテ(Phonte)によるユニット、ザ・フォーレン・エクスチェンジ(The Foreign Exchange)のディレクターを務めていて、アルバム『マンメイド』にはそのフォンテをはじめ、エリック・ロバーソン、サイ・スミス、アンソニー・デイヴィッドらが参加。このあたりが大好物なので、よく聴きました。この界隈の人たちの仕事ぶりは確実ですので。

 特別賞のマキシン・アシュリー『ムード・スウィングス』は、実はフィジカル版(CD)ではなくて、これは無料ダウンロード作品なんですよ。インディで活動するアーティストが無料ダウンロードでEPやアルバムを発表することも普通になっている近年ですが、この『ムード・スウィングス』も良質な作品。彼女のデビューEPとなります。マキシン・アシュリーはブロンクス出身。以前、ファレル・ウィリアムス関係のレーベル“Star Trak/Interscope”に所属していたことも。『ムード・スウィングス』にはファレル制作の「Perpetual Nights」も収録されています。グルーヴィなグルーヴ・セオリーといったテイストでしょうか。
 このマキシンと、ダフト・パンク、ロビン・シックと、ファレル・ウィリアムが活躍したことを実感出来る1年でもあった訳ですね。

 邦楽では久保田利伸の『KUBOSSA』が予想外の出来の良さ。彼のセンスと先見性は相変わらず素晴らしいものがあります。Perfume『LEVEL3』もライヴのために構成された作品らしく良かったのですが、個人的に「未来のミュージアム」が収録されていたのがどうしてもケチをつけたくなってしまって。シングルとはいえ映画『ドラえもん』主題歌だったので、アルバムの世界観の一体感として違和感が抜けませんでした。せめて、ボーナス・トラック扱いだったらなあと。
 あと、米ボストン在住のYUKI KANESAKAによるプロジェクト、monologのアルバム『17 Living Souls』はかなり高品質。こちらを最優秀にとも迷ったくらい。スムーズなネオ・ソウルやジャズ・ファンクなど、ファンキーでグルーヴィな楽曲が揃っていて、長い間愛聴出来そうな傑作でした。

 2014年、早々に目をつけていたアーティストのアルバムがリリースされそうな感じなので、アンテナをしっかりと張りつつ、グッド・ミュージックに出会えるよう、嗅覚を研ぎ澄ませていけるよう頑張りたいと思います。
 また何かオススメの音楽などがありましたら、お気軽にお知らせください。凝り固まった感覚を一網打尽にするような音楽との出会いも、またそれはそれで楽しいことだと思うので。

 では、このあたりで、2013年のマイ・フェイヴァリッツ・アウォードを締めたいと思います。













以上です、キャップ。
 
 

 
 
 
 
 

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