
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
うめぴょん──ペットの猫(ロシアンブルー)人間の言葉が少しだけわかる。
メシア 山本弘さんはと学会の『トンデモ本の逆襲』の中で、コンノケンイチさんがアインシュタインの言う《古典的エーテル》と《現代物理学的エーテル》の違いがわかっていないことを嘲笑っている。
うめぴょん ……。
メシア また、山本さんは《光行差現象》というものについて長々とウンチクをたれている。
少し長くなるが、『トンデモ本の逆襲』から引用する。
(前略)僕は『トンデモ本の世界』の250ページで、コンノ氏のエーテル宇宙論が間違っている証拠として、「光を伝達するエーテルが地球といっしょに動いているなら、星の光行差の測定によって、すぐにわかってしまう」と書いた。もちろん、ここでいう「エーテル」とは古典的エーテルのことだ。
それに対しスギヤマ氏は、またもやコンノ氏に問い質し(だからなんで天文学者に訊かないんだ!?)、「星の光行差が間違いを証明するどころか、逆に正しさを証明している」という、トンデモない説明を聞かされ、それをそのまんま信じてしまった。
そもそも「光行差現象」とはなにか?
たとえば雨が垂直に降っているときに車を走らせると、車に乗っている人にとっては、雨が前方から吹きつけてくるように見える。
光についても同じことがいえる。光が観測者に真横から当たっている場合でも、観測者が動いていると、光はやや前方から当たっているように見えるわけだ。地球は光速の約1万分の1の速度で公転しているから、この運動によって、星の位置は実際より少しずれて見える。これが「光行差現象」で、1727年にイギリスの天文学者ジェームズ・ブラッドレーが発見した。
仮に、コンノ氏の主張するようなエーテルが存在するとしよう。このエーテルは水や空気に似た物質的なふるまいをして、光を伝達する媒体である。さて、地球はこのエーテルを引きずって動いているのか、それとも引きずっていないのか?
地球がエーテルを引きずっておらず、静止したエーテルの中を運動していると仮定しよう。この場合、動いている地球から見るとエーテルは後方に流れていることになり、それにともなって星の光も(地球から見て)後方に引きずられるように見える。つまり光行差現象が確認される。
ところが、この「地球が静止したエーテルの中を運動している」という仮説は、マイケルソン=モーレーの実験によって否定されてしまった。
では、コンノ氏の主張するように、地球がエーテルを引きずって動いているとした場合はどうか。宇宙の彼方から飛んできた星の光は、地球が引きずっているエーテルの層にぶつかったとたん、それに引きずられてしまう。つまり地球の動きに引きずられて光も動くわけだから、光行差現象は確認されないか、確認されたとしても理論値よりかなり小さくなるはずである。
僕が「光を伝達するエーテルが地球といっしょに動いているなら、星の光行差の測定によって、すぐにわかってしまう」と言ったのは、こういう意味なのである。
スギヤマ氏によれば、コンノ氏は次のように弁明しているという。
〈(前略)たとえば大きな川の流れを銀河系運動とすると、太陽系運動は川の流れの中の小さな渦でしかない。つまり太陽系外の恒星に対して地球は円運動によってわずかだが近づいたり遠ざかったりしているので、「星の光行差」が生じるのは当たり前のことになってくる。〉
この説明は、まったく説明になっていない。なぜなら、光行差現象は「(地球が恒星に対して)近づいたり遠ざかったりしている」ために起こるものではないからだ。どうもコンノ氏は光行差現象の意味を根本的に理解していないように見える。
うめぴょん ……。
メシア また山本さんは『トンデモ本の世界』の250ページに次のようなことも書いている。
コンノ氏の主張によれば、宇宙にはエーテルが満ちている(ほらほら、そこのあなた、コケないで)。
メシア これらが山本さんのコンノさんのエーテル論への反論なのだが、2つのエーテルの話も光行差現象の話も、まったく本質的な問題ではない。
もっと言ってしまうと《どうでいいこと》だ。
山本さんは勝ち目がないため、どうでいいことに論点をすり替えてごまかそうとしているんだ。
うめぴょん ……。
メシア では次回、山本さんとコンノさんのエーテル論争に決着をつけたいと思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます