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Joy Yoga

中東イスラエルでの暮らしの中で、ヨガを通して出会う出来事あるいは想いなど。

シャレにならない体験

2015-12-27 23:37:21 | 日記
起承転結の結から言うと、誤解が引き起こした騒動に過ぎなかったのだけれど、テロの恐怖を疑似体験する出来事に遭遇した。


昨日、安息日が明けた土曜日の夜の、テルアビブ北にあるショッピングモール。
ようやく衣替えの季節になったので、夫と娘を伴って久しぶりに買い物に繰り出した。
セール中でレジは長蛇の列。やっとのことで1軒目の店で支払いを済ませると、すでにうんざりした夫は「ここで待ってるから二人で見ておいで」と言う。

私は娘と連れ立ってウインドウショッピングをすることおよそ15分。
3軒目の店で品物を選んでいる時、突然、十人ほどの人が慌てた様子で店内に流れ込んできた。

「テロ」 咄嗟にこの言葉が頭に浮かぶ。
娘の腕を取り、皆が逃げていく方へ私も急ぐ。試着室コーナーに皆で寄り固まる。
恐怖で震えている人、パニックで泣き始める人、得体の知れない不安がその場を満たしていた。

私も冷静であろうと努めるのに、胸の奥、身体の芯が恐怖で小刻みに震えている。
夫の無事を電話で確認してからも、テロリストがどこにいるのか、何人いるのか、凶器は何なのかが全くわからない状況では、最悪のシチュエーションの断片がいやでも頭をかけ巡り、ものすごい勢いで喉が渇く。


程なくして中年の男性が「みんな落ち着け。警官が到着しているからもう大丈夫。」と告げるまでわずか数分の出来事だったらしい。
短い時間だったし、蓋を開けてみるとテロではなく乱闘事件だったのだが、その最中は、迫り来る死の恐怖のイメージがうっすらと浮き上がる中、袋小路の試着室で娘を守り抜く名案が浮かばず背筋がひんやりとしていた。


吹き抜けになっている建物の2階の渡り通路から事の次第を見ていた夫曰く、私達が買い物をした1階にある1軒目の店から人々が逃げ出してきて、それを見た他の人々が次々に逃げ始め、そのパニックの波が2階にも及んできたのだそう。

ここのところイスラエル国内では未遂も含めたテロ事件が各地で多発している。そのためテロへの警戒心が今までになく人々の間で高まっているのは以前の記事に書いた通り。昨日の乱闘事件もテロと結びつけて、大きなショッピングモール全体にパニックを引き起こすほどである。
一夜明けてからも、人々が慌ただしく店内に駆け込んでくる光景が、火柱のように胸の中心に立った恐怖心の名残りと共に蘇る。
何気ない日常を瞬時にして恐怖に変えるのがテロであることを、頭ではなく身体で理解した強烈な疑似体験だった。
こんなものは疑似だろうがなんだろうがもう二度とごめんだ。






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