Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

ピーター・ドラッカーの言葉に

2006年05月04日 | Ivey
 3日間に渡るシュミレーションソフトを用いたマーケティングの授業が漸く終わった。テスト前だというのに、早朝から夜まで、他のグループとのアイスクリーム商品の市場シェア獲得競争にいささか疲れてしまった。それにしても、ビジネススクールにはつくづく面白いソフトが沢山あると思う。ゲームというのは、学生の競争心をくすぐる最高のツールなのではないだろうか。残念ながら僕らのチームの成績は真ん中くらいだったのだが、この3日間はストレスの中でも凄く楽しかった。

 翌日のマーケティングの最後の講義の中で、教授が昨年他界したピーター・ドラッガーの言葉を紹介してくれた。米国クレアモント大学で教鞭を振るったピーター・ドラッカー教授といえば、ビジネスの分野で知らない人が居ないくらいの有名人である。彼が残した有名な言葉に、“企業の最大の活動は顧客を獲得すること”という一文がある。この言葉は、ビジネスの本質を鋭く捉えていると思う。

 顧客の獲得には様々な定義があるが、ビジネスの最前線にいる営業に焦点を当ててみると、お勉強が良く出来る秀才タイプの人間=高い顧客獲得スキルという図式は明らかに成り立たない。つまり、天才的な定量分析を出来る人が顧客を獲得できるという保証がない代わりに、非理論的な、体育会系気質の人間が、お客さんに好かれるなんていうことは良くあることだ。彼の言葉の解釈の次第では、定量分析による顧客獲得も可能なのだろうけど、ビジネスの最前線にいる営業は、コンピューターや数字の計算から答えを導き出すことは到底できないであろう。

 だから、シュミレーションとはいえ、いい成績を収めたチームが、営業トレーニングと人員増強は、宣伝広告と同じくらい大切だからコストを重点的に配分した、と述べていた事に僕はなんとなく共感することができた。売り手に人間的魅力がなければ、どんなにいい商品だってお客さんは買わないのだから。

 マーケティングの授業を通して一番印象に残ったことが、授業の最後に紹介されたこの言葉だったというのは何とも皮肉なことだと感じた。4Pやコンジョイトイ分析等はいったいなんだったのだろうと思ってしまう。僕らがMBAでどんなに難しい定量分析や金融モデルを習おうとも、そこにはビジネスの本質は存在しない。それらの価値を認めてもらえる顧客がいて初めてビジネスは成り立つのだ。

 マーケティング、オペレーション、戦略等は、所詮バリューチェーンの一部であって、顧客にアプローチすることができる営業が存在して、初めて意味を成すのだと思う。そういう意味で今日のプログラムはやや実ビジネスから乖離していたと思う。マーケティングのプログラムなので仕方はないのだけれど。 

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