雲一つない青空が祖谷川の青さや周辺の新緑を一層濃いものとしていた。後部座席では、この美しい景色に目も向けず、IPodを耳に当てながらAが静かに眠っていた。真夏の四国はとにかく蒸し暑い。この時期、昼間の気温は常時30度を超える。そういえば、先程Aが食べていたアイスクリームは暑さのせいか瞬間的に溶けてしまい、彼の服にこぼれていた。統計上、Aが旅行期間中に何かをこぼす確率は非常に高い。新潟ではコーヒーを服にこぼし、白いTシャツが茶色く染まっていた。その後、Aは何事もなかったかのように振舞うっていたのだが、Sはそうした微妙な変化を見逃さなかった。しらっとして、まるで何も無かったかのようなAの茶色く染まったTシャツを、Sが真顔で指摘する姿に笑い転げる姿は、僕らの旅の縮図だった。
かずら橋は、徳島市から高速を30分程西に向かって走り、高速を降りてから山道を50分程登った西祖谷にある。僕らは西祖谷に着くと、かずら橋すぐそば、駐車上という手作りの看板が目に入ったので、かずら橋から少し離れた場所にあったお土産屋の駐車場(有料)に車を停めた。徒歩で吊り橋へと向かう途中、観光客相手の土産物屋が軒を連ねていたのだが、どういうわけかそれらの店のの駐車場は無料となっていた。そう僕らはぼられたのだった。初めて行く土地では、心理的に直ぐそばとか、駐車場とあるとついつい車を停めてしまうものである。一度有料という文字を見ると、吊り橋の直ぐそばに無料の駐車上があるとは通常予想し難い。つまり、吊り橋が近くなると駐車場が無料になるという期待値は当然低くなる。今回は、全く逆のケースだった。こういう宣伝の仕方をする民芸屋の主人は賢いと思った。他方、僕達のような純真な観光客が多数同じ轍を踏んでいるかと思うと少々残念に感じた。田舎の人は良い人だという仮説に基づいた僕達の行動は、新たな不信感と満足度を下げる結果となった。
かずら橋は全長45mの原始的な吊り橋で、近隣に生えるかずらという木を用いて作られている。清流の真上に立つ吊り橋は、人が少し動くだけでがたがたと揺れる。よくもまあこんな橋を作ったものだとつくづく感心する。
かずら橋の起源については諸説あり、屋島で源氏に敗れた平家の落人が追っ手からいつでも逃げられるように橋をかけたとか、弘法大師がかけた等々、様々とのこと。平家の落人の血を引いている僕としては、平家説を信じてしまうのだが。
僕は最も美しい遺跡というのは、周囲の自然との愛称だと考えている。例えば、エジプトのピラミッドは、歴史と規模においては目を見張る程素晴らしい。しかし、周囲に立ち並ぶKFCやマンションといった現代建築の産物は、全くもって遺跡に調和しておらず、遺跡の素晴らしさを損なっていると言わざるを得ない。かずら橋は、橋を渡るのにはものの5分しかかからない小さな吊り橋だけれども、周囲の山々や谷と調和している姿は秘境浪漫といえるだろう。
僕らは橋下の谷で水遊びをしてから、温泉に入り、徳島市へと向かった。移動距離が長かったせいだろうか、ホテルに戻ると異様な眠気が襲ってきた。空腹と疲れた体を揺さぶり起こして、僕達は徳島の夜の街へと繰り出したのだった。それは長い長い夜の始まりだった。
かずら橋は、徳島市から高速を30分程西に向かって走り、高速を降りてから山道を50分程登った西祖谷にある。僕らは西祖谷に着くと、かずら橋すぐそば、駐車上という手作りの看板が目に入ったので、かずら橋から少し離れた場所にあったお土産屋の駐車場(有料)に車を停めた。徒歩で吊り橋へと向かう途中、観光客相手の土産物屋が軒を連ねていたのだが、どういうわけかそれらの店のの駐車場は無料となっていた。そう僕らはぼられたのだった。初めて行く土地では、心理的に直ぐそばとか、駐車場とあるとついつい車を停めてしまうものである。一度有料という文字を見ると、吊り橋の直ぐそばに無料の駐車上があるとは通常予想し難い。つまり、吊り橋が近くなると駐車場が無料になるという期待値は当然低くなる。今回は、全く逆のケースだった。こういう宣伝の仕方をする民芸屋の主人は賢いと思った。他方、僕達のような純真な観光客が多数同じ轍を踏んでいるかと思うと少々残念に感じた。田舎の人は良い人だという仮説に基づいた僕達の行動は、新たな不信感と満足度を下げる結果となった。
かずら橋は全長45mの原始的な吊り橋で、近隣に生えるかずらという木を用いて作られている。清流の真上に立つ吊り橋は、人が少し動くだけでがたがたと揺れる。よくもまあこんな橋を作ったものだとつくづく感心する。
かずら橋の起源については諸説あり、屋島で源氏に敗れた平家の落人が追っ手からいつでも逃げられるように橋をかけたとか、弘法大師がかけた等々、様々とのこと。平家の落人の血を引いている僕としては、平家説を信じてしまうのだが。
僕は最も美しい遺跡というのは、周囲の自然との愛称だと考えている。例えば、エジプトのピラミッドは、歴史と規模においては目を見張る程素晴らしい。しかし、周囲に立ち並ぶKFCやマンションといった現代建築の産物は、全くもって遺跡に調和しておらず、遺跡の素晴らしさを損なっていると言わざるを得ない。かずら橋は、橋を渡るのにはものの5分しかかからない小さな吊り橋だけれども、周囲の山々や谷と調和している姿は秘境浪漫といえるだろう。
僕らは橋下の谷で水遊びをしてから、温泉に入り、徳島市へと向かった。移動距離が長かったせいだろうか、ホテルに戻ると異様な眠気が襲ってきた。空腹と疲れた体を揺さぶり起こして、僕達は徳島の夜の街へと繰り出したのだった。それは長い長い夜の始まりだった。
現在、都内の都立高校に通っている高校二年生です。
MBAで検索していたらここにたどり着きました。
将来、カフェの経営をしたいと本気で考えてます。
しかし、高校の先生に相談しても、良い大学に入るための進路指導はしてくれますが、僕の夢にむけてどこで勉強したらいいかを教えてくれません。
大学では経営の方に進み、専門知識として論理思考、経営戦略、アントレブレナー、財務、マーケティング、組織人事、IT、統計などを学びたいと考えています。
また、僕のような目標を持った者の相談はどのようなところでしたらいいのでしょうか?
今進路でとても悩んでいます。回答をもらえたらとてもうれしく思います。
石川健太
提案としては、目標の優先順位を整理してみてはどうでしょうか。例えば、極端な話ですが、カフェの経営が最終目標であれば必ずしも大学に進学することが必要というわけではありません。他方、大学でマーケティングや財務について学べば、将来広い視野でビジネスをすることも可能でしょう。大学時代にレストランでアルバイトをするというのも方法かもしれません。
そうして目標に近づこうとしていれば、不思議なもので自然と相談するような人が分ったり、現れたりするものです。大学に進めば、大学教授や先輩を中心に人間関係が広がり、彼らが相談相手となるかもしれません。
短期(大学進学)と長期(カフェ経営)の目標が繋がるような進路を考えてみてはどうでしょうか。