Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

ボストンのタクシー

2006年12月24日 | Ivey
とある11月の週末、ボストンに行ってきた。ロンドンの氷点下とは打って変わって、穏やかな気候だった。海沿いの景色も綺麗だし、シーフードは美味しいし、ロンドンとの差を改めて感じてしまった。

 ボストンでは、毎年11月になると、ボストンキャリフォーラム(BCF)という留学生向けのキャリアイベントが開かれる。BCFには、毎年多くの企業が学生を採用する為にわざわざ日本からやってくる。今年は過去最多の175社が参加したそうで、留学生の間では毎年恒例のかなり有名なイベントとなのだ。僕も一留学生として、参加した訳だが、日本企業の積極的な採用環境がなんとなく伝わってきた。団塊世代の退職もあるのだろうけど、多分景気が凄くいいのだと思う。

 さて、そんなボストン滞在中のある日、僕はいつものようにタクシーを捕まえて最寄の駅からホテルへと向かった。その日はどういう訳か、タクシーが中々捕まらなかった。待つこと15分程でタクシーを捕まえ、ものの5分の距離にあるホテルへと向かうことになった。タクシーへと乗り込み、ドライバーにホテル名を告げたのだが、ドライバーが分からないと言い出した。仕方がないので、プリントアウトされたホテルの名前と住所を見せるのだが、分からないような素振りをするので降りようとすると、彼は突然思い出した言いと始めた。なんとなく不審を抱きはしたのだが(この時点で既にメーターは回っていた。)、まあいいかと思いホテルへ向かうことにした。

 高速道路の脇を抜け、暫く走ると大きく二手に道が分かれていた。右側がショッピングモール、左側がそれ以外の道だった。運転手は、ショッピングモールの方へ曲がった。僕はホテルがショッピングモールの側にあるのかと思ったのだが、そこを通り抜けて左折して、先程の分かれ道の少し先に戻ってきた。彼は明らかに遠回りをしていた。僕は呆れてものが言えなかった。

 僕を乗せる時に、ホテル知っているのかと聞いたら、“I know I know”等とぬかしていたくせに、わざと遠回りしたこの態度に僕はどうしようかと考えた。そこで、僕はチップを減額することにした。北米ではチップは習慣であり、通常料金の10-15%が支払われる。こうしたサービス業に従事する人達にとってチップは生命線なので、チップ無しでは給料がもの凄く低いと言われている。

 タクシーがホテルの前に止まると足早に次の客が乗り込んできた。彼を横目に僕はチップを減額した料金をタクシーの運転手に渡した。運転者は、少し不満そうな顔をして、乗り込んできた男に向かって、

運転者:チップが少ないけちな奴だ。

乗り込んできた客: こいつらにはチップの習慣がないから仕方がないのさ。

 僕が言葉を分からないと思って、こういう発言をしたのかどうかは定かではないけれど、遠回りしておいてこんな物言いをするとは、なんて失礼な奴だと思った。ドライバーにチップを少なくした理由を説明しようかと思ったけれど、相手にすること自体がばかばかしくなってきたので辞めた。こういう人間とまともに取り合っても時間と労力の完全な無駄である。

 北米には、自分の行為を特に考えもせず、主張のみをする輩がやたらと多い。CRM(Customer Relationship Management)を唄い、顧客満足度の最大化という薄っぺらい議論がビジネススクールで為されているけれで、僕は義理と人情に厚い日本やアジアの文化を最大限にappreciateしたいと感じた瞬間だった。

大雪 ”Heavy snow, London is for Polar Bears"

2006年12月10日 | カナダ
 一昨日から昨日にかけて、ロンドンは記録的な大雪となった。積雪は3Feet程度になった模様で、一晩という短期間に降った雪の量という意味では1977年以来とのこと。雪の影響により、ロンドンの商業活動は一部完全に停止してしまった。

 一昨日の夜、僕は授業を終えてから教授やクラスメートと大学内のパブへと繰り出した。教授のおごりでビールを飲み、ほろ酔いで外へ出ると校内には一面の雪景色が広がっていた。大学内に飾られている大きなクリスマスツリーと対比して、白い雪が綺麗に映えてた。15年ほど前に初めて札幌へ行った時に、雪景色に感動した事を少しだけ思い出した。

 僕はクラスメート共に駐車場へと向かった。15分程歩き、駐車場に着くと、僕の酔いはすっかり覚めてしまった。僕の車は大量の雪に覆われ、認識すら出来ない状態だった。手袋を持っていなかったので、素手で雪を掻き分けた。マイナス11度の中で素手での雪かきは、僕をシラフに戻すのには充分過ぎる作業だった。

 凍える手を温めながら、アクセルを踏みこんだのだが、車は全く動かなかった。仕方がないのでタイヤ廻りの雪を掻き分け、格闘すること一時間、5m程度移動した後、車は完全に止まってしまった。雪は益々強く降り始めてきたので、車を放置して帰ることにした。タクシーに電話するも、全く繋がらず、仕方がないので友達に迎えにきてうことにした。帰り道には多くの車が立ち往生していた。

 翌朝、依然、雪は降り続いていた。大学は閉鎖、公共交通機関は停止した。予定されていた試験は当然延期となり、The only option we had was stay safe at home. 僕は家で大人しくしていたのだが、大学に残してきた車のことが気が気でならなかった。

 夕方、雪が止んできたのを見計らい、友人と共に大学に向かった。大学の駐車場には、雪道を脱出しようとし、道半ばにして置き去りにされた、無残な僕のカローラの姿があった。雪に覆われた車を走らす為に、近くで除雪作業をしていたトラックに、車の周辺に積もった数フィートの雪を取り払って貰った。その後細かな雪を取り除く事30分、ようやく車を走らすことができた。

 今回の出来事は僕にとってとてもいい経験となった。技術が進化しようと、所詮人間は自然には勝てないのである。そして、こういう困った時に助けてくれる友人というのは、大切だと感じた。僕は、彼らに凄く感謝している。