だせなかったLove Letter:38

2011-01-31 | 自作小説:私小説
同じ中学から、鎌ヶ谷高校に入学した男に、S原がいた。
S原は、中学で一番人気のあった男で、今で言うイケメンだった。
原宿で踊る集団に所属し、J事務所からもスカウトされた男。
間違いなく、イケメンだ。
そのS原が狙っていたのが、S籐という女だった。
同じ中学出身ということもあり、S原とは時々話をした。
 “この学校はブスばっかりだ。唯一、まともな女はS籐だけだ。”
僕は、彼の言葉を否定も肯定もせずに受け流した。
数年前に流行った歌・・・左に受け流す・・・・?
そんな感じだ。

彼の言葉を、僕は本能では理解できた。
でも、理性が否定した。
S籐は、僕の好みでは、その顔は決してかわいくない。
でも、なぜか、惹かれるところがあるのも事実だった。
S原は僕に、彼女に対する想いを語った。
ただ、彼はイケメンで、僕の中学で一番の人気者だった男だ。
素直に語ったわけではない。
でも、彼がどう言おうが、“S籐を好きだ”、そう聞こえた。
だから、二人は付き合う、そう思っていた。

そんなある日のこと、
 “俺、S籐と付き合うことにしたよ。”
T瀬が、唐突に僕に言った。
当惑しながら、
 “そうか。知らなかったよ。狙ってたんだ。”
それを否定するように、
 “いや違う。昨日、S籐と話をしたんだ。
  そしたら、S原が、しつこく付きまとって、困ってる、
  っていうんだよ。
  なら、俺と付き合うか?、って言ったんだ。
  そしたら、いいよ、って言うんで。
  流れ上仕方ないよな。それで、付き合うことになった。”
T瀬は嬉しそうだった。
間違いなく、T瀬もS籐を狙っていたんだろう。
 “人助けか。まあ、いいんじゃねぇか。”
とりあえず、僕は祝福した。
でも、心の中では、
S籐・・・怖い女・・・・
そう感じていた。

それは、僕にとっては悪いことだったのだろうか?
S籐の親友はS谷だった。
そのS谷の友達が君だった。
ある意味、僕と君の運命が繋がった。
そんな出来事だったのかもしれない。

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