だせなかったLove Letter:42

2011-06-20 | 自作小説:私小説
付き合い始めた頃の僕らは、ギクシャクしていた。
僕らはお互いのことを何もしらない。
僕が知っていること。
それは、いつも君がなぜか不機嫌そうなことだ。
Aと並んで学校に行く君を何度も見かけた。
なぜか、何も話もしないで、楽しそうにも見えなかった。
ただ、黙々と二人で学校に向かっているだけ。
たまたま、方向が同じだけ。そんな感じだった。
僕は、そんな君を不思議に思っていた。
駅で、Aを待っている。そして、二人で学校へ行く。
そこまでするからには、Aと一緒に登校することが楽しいからだろう。
でも、登校の際、すれ違う二人は、そう見えなかった。
僕は、そんな二人を観察するように見ていた。
そして、何度か、君と目が合い、いつも睨まれた。
睨まれても、僕は観察し続けた。
なぜ、君は楽しそうではないのか。
僕なら君を楽しませることができる。
そして、僕は君と付き合い始め、君と並んで登校するようになった。
君を笑わせたい。
楽しませたい。
僕なら出来るはずだと思っていたのに、
隣にいる君はAといた頃と同じように不機嫌そうだった。
僕は、何でもいいから、思い付いたことを君に話した。
とりあえず、話しかければ、
Aと一緒にいた時とは違うシチュエーションになる。
僕の話に君は相槌を打ってはくれた。
ただ、それは無理をして話しかける僕へのすまない気持ちが、
そうさせているような感じだった。
そんな日が何日続いたのだろう。

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