茅の輪の脇には正式な「輪越し」の仕方を記した案内板が立ててあった。
これを読んだはるおさんは、私とT・Kさんとは輪を潜らずに横から眺めていた中、一人この案内された様式通りに「輪越し」を行った。
氷川神社で「夏越の祓い」が行われる時には、茅の輪をくぐるに、そのくぐり方についての説明は特別されていたようには記憶されてはいないから、単に通り抜けただけで「輪越し」の仕方にキチンとしたものがあるなどと私は全く知らなかった。
「輪越し」の仕方について私が始めて知ったのは、7・8年前だったろうか?。
鷲宮町に在る鷲宮神社へと訪れた時のことであった。
この時にも丁度「夏越の祓い」が行われている最中であって、拝殿のすぐ前に「茅の輪」が用意されてあって、そこに「輪越しの仕方」について詳しく説明している掲示があるのを目にした。
「へぇ~、こんな風にしなけりゃ~いけなかったんだ」と正しい輪越しの仕方について私はこの時に新鮮な驚きを持ちながら初めて知ったのだった。
その頃は現在のようにアニメの聖地のように鷲宮神社もなってはいなかったから大勢の参拝者がいるような状況ではなかったので、ゆっくりとその掲示板に書き記された通りに頭の中に、しっかりと覚え込ませねばといった思いを持ちながら、止せばいいのに3度も4度もこの茅の輪を潜り抜けたことを思い出す。
それをここに書き出してみると以下のようなものだった。
先ず最初に輪をくぐり左回り(反時計回り・左遶)して元の位置に戻り、次には輪をくぐったら今度は右に回り(時計回り・右遶)して、また元の位置にと戻り、さらにもう一回、最初に廻ったのと同じように左回りして、またまた元の位置に戻るというもので、歩の軌跡からしたら無限大のマーク∞のように8の字を描くようにしてから後、あらためて輪をくぐって拝殿へと進むとあった。
輪越しを済ませてから暫くの間、ボケ~とする時間を過ごしてその場にいると、そこへ「お七夜」のお参りに来たのであろう和服を着たお母さんに抱っこされた赤ん坊と、親族の人たち5・6人が参拝に訪れた。
見ていると、この人たちは茅の輪をくぐることなく直に拝殿の中にと入って行き床几に腰掛けた。
「お祓い」を受けに来たのだなぁ・と思う間もなく神官が現れ儀式が始まった。
祝詞の言上が終わると、神官は傍らに立ててあった紙垂の下がった幣を手に取り、一同の頭上でこれを振るった。
サッ。サッ。サッ3回幣帛の振られる音がした
事の成り行きをズゥ~~と見つめていた私は、この時初めて気がついた。
アレッ。あの幣の振り方って、たった今、自分が茅の輪を輪越した行い方とスッカリと同じではないか!!!。
つづく
