はい、どうも。
先日、独断と偏見で発表した私的洋楽ベストアルバム。
順位をつけましたが、あまり関係ありません。
どれも素晴らしいので聴いてみてください。
さて、そのランキングに入らなかったのですが、紹介したいアルバムが1つ。
番外編.
Wanda Jackson 「The Party Ain't Over」
今年74歳になるロカビリー界の女王“ワンダ・ジャクソン”を、ジャック・ホワイトがプロデュースして作ったニューアルバム、「The Party Ain't Over」でございます。
2011年、ジャック関連のニュースは非常に暗いものが多かったですね。1番は、「
The White Stripesの解散」でしょう。『今年中にスタジオに入って、新作を作る』と語っていただけにとてもショックなニュースでした。続いて、奥さんであるカレン・エルソンと離婚。もともと、ストライプスの
「Blue Orchid」という曲のPVで共演したことにより交際し、結婚して子どももいます。とても仲がいいように見えていたので驚きました(
奥さんのアルバムをプロデュースしてた)。しかし、
最近のライブのステージ裏で一緒にいるところが目撃されているので、円満に離婚したんですかね(離婚記念のパーティーもした)。そういった悲しみ?のなかで、“
The Raconteurs”の活動再開という、嬉しい話もありました。
さて、このアルバム。音楽のためなら睡眠時間でさえ削ってしまうジャックが、
エルヴィス・プレスリーに勧められてロカビリーに転向したといわれる(元々はカントリー・シンガー)ワンダ・ジャクソンをプロデュースしたわけです。恥ずかしながら僕はこの作品でワンダを知りましたが、経歴から見てもロカビリー界の重鎮であることは間違いないです。ロックンロールをレコーディングした初めての女性、とも言われています。レコーディングには、“リトルジャック”ことジャック・ローレンス(
The Greenhornes/
The Dead Weather/
The Raconteurs)、パトリック・キーラー(The Greenhornes/The Raconteurs)など、いつもの面子が勢揃い。この最強メンバーで挑むのは、ロカビリーやロックンロール、はたまたR&Bなどの名曲たち。つまりは、カバーアルバムなんです。エルヴィスをはじめ、リトル・リチャード、ボブ・ディラン、今年惜しくも亡くなってしまったエイミー・ワインハウスなど、世代を超えたアーティストの名曲揃い。なんと豪華なアルバムなんだ、ということは伝わったかと思います(笑)
1曲目、
「Shakin' All Over」(Johnny Kidd & The Pirates)は原曲以上にエッジがあり、ものすごいインパクト。ギターはもちろんのこと、ドラム、鍵盤、ホーンセクション、どれをとってもやはりジャック節が効いています。ほとんどの楽器をプレイできる彼だからこそ出来る技なんでしょうけど、見事なまでに圧倒されました。ライブ映像を見ていただければ分かるんですが、とにかくジャックが子どものようにステージ上で飛び跳ねてます。それを孫を見るような眼差しで見るワンダおばぁちゃん。非常に微笑ましい。ですがワンダの太い歌声はまだまだ健在で、女王たる由縁を感じさせます。74歳で現役のロカビリー・シンガー、本当に素晴らしく歌い上げてます。ロック音楽の創世記に活躍した人たちが少なくなっていくなかで、その歴史を振り返るように歌うワンダ・ジャクソン。ロックンロールはいつも人々の身近にあって、決して終わることはない。このアルバムは、ロックンロールから遠ざかってしまっている今の世の中へ、「おい、忘れるなよ!」と警鐘を鳴らしているのかもしれません。“古き良き時代”の音楽を現代風にアレンジして歌い、現代の音楽を“古き良き時代”から支えてきたシンガーが歌う。是非、この凄みを味わっていただきたいです。
Wanda Jackson / Thunder On The Mountain (Bob Dylan)