日本政府がインド支持?=期待表れか、大使館は否定-中印国境問題
2017年08月18日 19:41 AFP
平松賢司駐インド大使
【8月18日 時事通信社】インドと中国が約2カ月間にわたりにらみあいを続ける係争地ドクラム(中国名・洞朗)高地をめぐり、
一部インドメディアは18日、日本の平松賢司駐インド大使が日本政府のインド支持の立場を表明したと報じた。
ただ、在印日本大使館は報道内容を否定した。対中国で協力関係を深める日本への強い期待が報道に表れたといえそうだ。
ドクラム高地は中国とブータンの係争地で、ブータンと関係の深いインドが軍を派遣している。タイムズ・オブ・インディア紙などは、
平松大使がドクラム高地を「ブータンの一部」と認め、日本がインドの立場を支持したと報じた。
一方、在印日本大使館は、平松大使がインドメディアの取材に対し、「力による一方的な現状の変更」を行わないことが重要だと述べ
ただけだとして「インド支持」の報道内容を否定した。
ドクラム高地問題で、日本のインド・ブータン支持に中国が反発
日本に対する中国の警告
2017年08月19日17時46分 Pars Today
中国が、ドクラム高地をめぐる中国とインドの対立に関して、日本の外交官がインドとブータンの立場を支持したことに対して、
抗議を行いました。
中国外務省の華春瑩報道官は、ドクラム高地に関する平松賢司駐インド日本大使の表明は根拠がないとして、関連する事実を
正しく理解することなく、このような判断を行うべきではないとしました。
平松駐インド日本大使は、インドと中国のドクラム高地をめぐる緊張の結果について警告し、緊張の拡大は地域の安定を損なうと
しました。
中国が何よりも懸念しているのは、中国に反対する地域諸国が同盟を組むことだと考えられます。
中国は日本、インドとの領有権問題を抱えています。このため、中国は、日本とインドが同盟することで、将来的にほかの中国と
対立する国をも含み、中国はこれまで以上に安全保障、経済において窮地に追い込まれる可能性がある、と感じています。
中国とインドの対立は、中国が正式に「一帯一路」の構想を発表し、この問題に関する国際会議を開催したことを受けて高まりました。
インドは、この構想がパキスタンに実効支配され、インドが領有権を主張するカシミールなどを含むことになると考えています。
また、インドは、中国がこの「一帯一路」の構想を実現するため、ドクラム高地などの地域の国境線や道路を変えようとしていると
主張しています。中国政府は、インドの否定的な立場は中国の通商協力の拡大に明らかな形で反対していることを示すものだと
しています。このため、地域における中国のライバルである日本も、「一帯一路」の構想の実現を望んでおらず、それを中国の
地位を高めるものだとして、中国に対して、インドの立場を支持し、中国政府をこれまで以上に陸、海における領有権問題に
巻き込もうとしています。
南シナ海問題における日本の介入は、この方向性で行われているといえます。このため、中国は、インドに対して力を
誇示しようとしています。
香港発行の新聞サウスチャイナ・モーニングポストは、中国の軍事評論家の見解を次のように伝えています。
「中国はインドに対して、中国の軍事力はインドのそれよりも強大だということを証明しようとしている。」
最近の中国とインドの示威行為に関して、一部のアナリストは、それを自国の英雄伝の構築に向けた両国首脳の努力の一種であり、
両国は国内問題に直面していると考えています。インド問題に関する専門家は、次のように語っています。
「一部のインドや中国の関係者の好戦的な表明は、内部の必要性のために行われており、その目的は、国民感情を高めることだ。」
一部のアナリストも、中国とインドの好戦的なアプローチの結果を否定せず、アジア諸国の力の強化が、対立や問題を生み出す
可能性があると考えています。戦略問題の専門家は次のように語っています。
「軍事的なシナリオの危険性は存在する。それは地域における以前からの問題を解決するのに必要な土台が存在しないからだ」
いずれにせよ、日本が中国とインドの対立に介入することで、地域の安全保障の状況は複雑化し、複数の国による対立が表面化
することで、アジア諸国の関係が冷戦状態になることは、想像に難くありません。
これは経済的、社会的な損害をもたらす可能性があります。